文化講座
Dr.ビュート流もう一つの栄養情報・・8
心臓病死亡率と低コレステロール-5
今回は心臓病死の危険とコレステロール値の高低との関係を話題とします。
心臓病死は心筋梗塞死と心不全死とに分けての検討です。
前回までのN.Naganoの論文からの続きで、コレステロール値のグループ別も同様で次の如くです。
G1:160mg/dl未満群
G2:160mg/dl~200mg/dl未満群
G3:200mg/dl~240mg/dl未満群
G4:240mg/dl以上
I)心臓病死亡率順位とコレステロール値
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
男性 | G4 | G1 | G3 | G2 |
女性 | G1 | G2 | G3 | G4 |
II)心筋梗塞死亡率順位とコレステロール値
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
男性 | G4 | G2 | G1 | G3 |
女性 | G1 | G2 | G4 | G3 |
III)心不全死亡率順位とコレステロール値
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
男性 | G4 | G3 | G1 | G2 |
女性 | G1 | G4 | G2 | G3 |
まとめ
I)心臓病死亡率
男女によってコレステロール値の高低による死亡率順位は大きく異なります。
男性では高コレステロールが一番危険であり、続くのが低コレステロールなのです。
つまり、高い、低いのどちらも良くない傾向にあるとなります。
一方、女性では男性とは逆に、コレステロールは低いほど危険であり、高コレステロールが一番安定なのです。
II)心筋梗塞死亡率
男女で異なった結果となっています。
男性では高コレステロールが最も危険であり、安全なのはコレステロール値が低めでもなく、やや高め(G3)が良いとなります。
一方、女性ではI)の心臓病死亡率の場合と同様の傾向であり、低コレステロールは危険で、高い方が安全であると判ります。
III)心不全死亡率
男女で結果はI)、II)の場合と同様に異なった傾向にあります。
男性では高コレステロールが危険であり、低コレステロール傾向で安全なのです。
女性では低コレステロールが最も危険で、続くのが高コレステロール。
つまり、安全性が高いのはコレステロール値の高めが良いと言えます。
以上より、コレステロールの高低と心臓病死については男女で逆傾向だと言うことです。
男性では、高コレステロールは危険で、やや高めレベルからやや低めが良い。
女性では、コレステロール値は高コレステロールが安全で、低コレステロールは危険。
男女一律にコレステロールが高いが悪い、低いが良いとの巷の情報は改めましょう。