文化講座
Dr.ビュート流もう一つの栄養情報・・7
脳卒中死亡率と低コレステロール-4
今回は「Dr.ビュート流のもう一つの栄養情報・・5」で取り上げの「死亡率は低コレステロールで高い-3」の続きとします。
脳卒中による死亡率の増減と血中のコレステロール値との関係を紹介します。
N.Nagoらの論文の続きで、コレステロール値の高低と死亡率の増減を浮き彫りにするために各種の影響因子を除いた結果は「死亡率は低コレステロール・・」と同様です。
また、コレステロール値のグループ別も同様とします。
G1:160㎎/dl未満群
G2:160~200㎎/dl未満群
G3:200~240㎎/dl未満群
G4:240㎎/dl以上群
I)脳卒中死亡率順位とコレステロール値の高低
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
男性 | G1 | G2 | G3 | G4 |
女性 | G1 | G4 | G3 | G2 |
II)脳出血死亡率順位とコレステロール値の高低
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
男性 | G1 | G4 | G2 | G3 |
女性 | G1 | G4 | G3 | G2 |
III)脳梗塞死亡率順位とコレステロール値の高低
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|
男性 | G3 | G2 | G1 | G4 |
女性 | G4 | G2 | G3 | G1 |
まとめ
I)脳卒中死亡率
男女ともに脳卒中で死亡率が高くなる危険性が高いのはG1グループ、つまり、低コレステロールのグループです。
一方、脳卒中死亡率の危険が最も低くなるのは、男性ではG4グループです。
つまり、男性ではコレステロール値が高い方が脳卒中死亡の危険は低くなるとなります。
女性ではG4グループは2番目に危険とわかり、女性ではコレステロール値は低いも高いも危険だとなります。
脳卒中は脳出血と脳梗塞に分けられ、脳卒中死は脳出血と脳梗塞を合わせた死亡率を示します。
II)脳出血死亡率
脳卒中の内、脳出血による死亡では、男女ともに低コレステロールのG1グループが一番危険だとなります。
2番目に多いのは、高コレステロールのG4グループです。
男女ともに低いも高いも危険となります。
III)脳梗塞死亡率
男性では1番はG3グループで、2番目はG2グループですから複雑な結果です。
一番安全なのはG4グループですから、高い方が安全だとなります。
女性では逆にG4グループが一番危険で、G1が安全となります。
つまり、女性は高い方が危険、低い方が安全。
以上、脳卒中、脳出血では低コレステロールで死亡率が高いとなります。
脳梗塞では、男性ではコレステロール値は高いも低いも安全であり、女性では高コレステロールが危険で、低コレステロールが安全と男女で異なった傾向を示す。
コレステロール値は、低いが良い、高いが悪いとの"思い込み"は止めましょう。
つまり、男女、各人別で、潜在的危険性を"個人個人で用心せよ"です。