文化講座
Dr.ビュート流もう一つの栄養情報・・17
低炭水化物・高脂肪・高蛋白質ダイエット法(アトキンス法)を6年続けた効果
既に2年間続けられた三大ダイエット法のカロリー制限なし・超低~中低炭水化物130g以下・高脂肪60%・高蛋白質35%食のアトキンス法とカロリー制限あり・炭水化物55%・脂肪30%以下・蛋白質15%・オリーブ&ナッツ類食の地中海法およびカロリー制限あり・炭水化物55%・脂肪30%以下・蛋白質15%食のAHA(アメリカ心臓連合)法を無作為栄養介入試験(Dietary Intervention Randomized Control Trial)による比較検討した結果については取り上げました。
その後、さらに4年間継続されて6年間となる結果が新たに報告されました(D.Schwarzfuchsら、N Engl J Med, 367,1373-1374,2012)。
体重減少、LDL/HDL比、中性脂肪、コレステロールの6年間の変化が示されました。
・体重減少:2年間の結果ではアトキンス法>地中海法>AHA 法の順位でしたが6年後は地中海法>アトキンス法>AHA法の順番となりました。
つまり、地中海法がアトキンス法と入れ代わったのです。
・LDL/HDL比:LDLが低下してHDLが上昇するとLDL/HDL比は低くなります。
低い方が良いとなります。
2年間の低下した結果の順位はアトキンス法>地中海法>AHA法でしたが、6年後も同様の順位で、アトキンス法が良かったのです。
・中性脂肪:低下した方が好ましいことになります。
2年間の結果はアトキンス法≧地中海法>AHA法の順位で良いとの結果でしたが、6年間では地中海法がアトキンス法を逆転しました。
・コレステロール:2年間の結果は地中海法>アトキンス法>AHA法であり、6年後でも同様に地中海法>アトキンス法>AHA法の順位で、地中海法が良かったことになります。
6年後の結果は、地中海法が体重減少、中性脂肪、コレステロールで良い結果となり、アトキンス法ではLDL/HDL比が持続的に良かったことになります。
アトキンス法による6年間に及ぶ高脂肪(60%)でカロリー制限無しでも体重減少、LDL/HDL比、中性脂肪、コレステロールのいずれも低下を続けていることになります。
地中海の人達が多い地域で栄養介入試験が行われており、地中海法の方がアトキンス法より食スタイルや生活習慣に慣れているために長期になるほど抵抗なく持続するのに有利なのかも知れません。
しかし、高脂肪・超低~中低炭水化物食でも体重減少のみならず、老化・動脈硬化の原因となるLDL/HDL、中性脂肪、コレステロールが上昇しないと言うことです。
我が国の多くの人達による「“脂肪”悪玉、“炭水化物”善玉」とするトラウマからは抜け出す必要があります。