文化講座
メタボリック症候群とは−1
今日、メタボリック症候群(メタボリックシンドローム、Metabolic Syndrome)という言葉をよく聞く。
従来言われてきた生活習慣病との関係も含めて、しっかりと理解しておく必要がある。
メタボリック症候群は内臓脂肪蓄積型肥満があると心血管イベントの危険性が高まる症候群。心血管イベントとは動脈血管障害が起って、その代表たる心筋梗塞や脳梗塞などが発生するようになるのだ。
内臓脂肪型肥満は、その脂肪細胞が各種のアディポカイン、またはアディポサイトカインと呼ぶ内分泌因子を分泌して血管障害、動脈硬化を促進するようになってしまうのだ。
アディポカインには、コレステロールで言われているような表現、所謂、善玉アディポカインと悪玉アディポカインと呼ぶ因子に分けられる。
つまり、メタボリック症候群は内臓脂肪細胞が増えて蓄積することによる肥満で、その脂肪細胞が分泌するアディポカインの分泌異常が問題となるのだ。
我々が食べたものは胃、十二指腸で消化、分解が始まり、小腸を中心に吸収されるようになる。その吸収された栄養分は門脈血管を通って肝臓に運ばれる。
カロリー成分の糖や脂質は過剰、余分となると肝臓で中性脂肪となって、内臓脂肪細胞で蓄積されるようになる。
増えた脂肪細胞が分泌するアディポカインの分泌異常を起こして、動脈血管の異常、動脈硬化を促進するようになるメタボリック症候群と呼ぶ病気状態となってしまう。
ここで注意すべきは、同じ肥満でも内臓脂肪蓄積型肥満と皮下脂肪蓄積型肥満とは相違があることだ。
皮下脂肪蓄積型肥満によって増える皮下脂肪細胞は、内臓脂肪細胞が分泌する血管障害を誘発するアディポカイン分泌異常は起こさないと考えられている。
それ故に、同じ肥満でも、内臓脂肪細胞の蓄積増加を伴わないような皮下脂肪蓄積型肥満は心血管イベント発生を高めるメタボリック症候群とは区別して考える必要がある。
女性によくある皮下脂肪蓄積型肥満はホルモンと関係が深い。
美容的課題や体重増加による問題等を気にしなければ、メタボリック症候群とは別な意味を持っていることになる。