文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性・その6
『メタボの罠--「病人」にされる健康な人々』(大櫛陽一著、角川SSC新書)からの紹介で続けます。
本年・2008年から義務化される予定の"メタボ"健診は特定健診・特定保健指導として、その設定基準に従って、保健指導判定基準と医療機関の受診勧奨判定基準が設定されています。
その概要は以下の如くです。
対象者: 40~74才の医療保険加入者と家族
健診項目と判定値:
・身長、体重、腹囲(臍の位置)、理化学的所見、血圧、中性脂肪、HDL、LDL、空腹時血糖またはHbA1c、AST(GOT)、ALT(GDT)、GTP
・
尿検査(尿蛋白、尿糖)
保健指導判定値と受診勧奨判定は以下の如くとなっています。
項目 | 保健指導 判定値 |
受診勧奨 判定値 |
単位 |
血圧(最高/最低) | 130/85以上 | 140/90以上 | mmHg |
中性脂肪 | 150以上 | 300以上 | ㎎/dl |
HDL | 39以下 | 34以下 | ㎎/dl |
LDL | 120以上 | 140以上 | ㎎/dl |
空腹時血糖 | 100以上 | 126以上 | ㎎/dl |
HbA1c | 5.2以上 | 6.1以上 | % |
AST(GOT) | 31以上 | 61以上 | u/l |
ALT(GDT) | 31以上 | 61以上 | u/l |
γGTP | 51以上 | 101以上 | u/l |
今回設定された判定基準によって、健康異常率と受診勧奨率は次のように予想されています。
異常率: 男性の94%、女性の83%がいずれかの項目で異常となると想定され、日本における健康異常者総数は5035万人に上るとの計算。つまり、健診受診者のほぼ全員が異常値ありとなります。
受診勧奨率:
男性の59%、女性の49%で、受診勧奨者数は3060万人に及ぶと想定されます。
つまり、40~74才の日本人の半数が医療機関の受診が求められることになるのです。
受診勧奨者増加は医療費の増加を招くことを意味します。
長寿国の我が国は、こんなに不健康な人々からなるのかとなります。