文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その29
肥満と痩せの危険性・・21
―BMIと年令別死亡リスク・65才以上―
T.Pischonの論文から続けます。
今回は年令65才以上の男女を対象にしてBMIによる肥満と痩せと関連する相対的死亡リスクの増減を取り上げます。
死亡リスクの増減はBMI 23.5to<25.0にあっての死亡リスク数を1.00として、それぞれのBMIでの男女別相対的死亡リスクとして示す(値が1.00以下で死亡リスクの低下、1.00以上でリスクの増加を意味する)。
BMIと65才以上の男女別相対的死亡リスク | ||||
BMI | 男性 | 女性 | ||
痩せ | <18.5 | 1.56 | 1.40 | |
正常 | 18.5 to<21.0 21.0 to<23.5 23.5 to<25.0 |
1.32 1.00 1.00 |
1.28 1.04 1.00 |
|
過体重 (チョイ肥満) |
25.0 to<26.5 26.5 to<28.0 28.0 to<30.0 |
0.91 0.99 1.06 |
1.04 1.15 1.00 |
|
肥満 | 30.0to<35 ≧35 |
1.10 1.63 |
1.10 1.56 |
・痩せBMI<18.5
65才以上の男女にあっても痩せ(BMI<18.5)で死亡リスクは1.5倍ほど増加します。
しかし、既に取り上げた55才以下(4.4倍)、50才~65才未満(2.3倍)の男性に比して、65才以上では死亡相対的リスクの増加は低くなっています。
女性にあっても同様の傾向にあり、男性ほど顕著ではありません(55才以下:1.7倍、55~65才未満:1.9倍)。
・正常BMI(BMI18.5to<25.0)
正常BMIの低め(18.5to<21.0)では、男女いずれも1.3倍ほどの死亡相対的リスクの増加レベルにあります。
・過体重(チョイ肥満)BMI(BMI 25.0<30.0)
過体重の男性ではBMI 25.0to<28.0にあって、死亡リスクは低下レベルになります。
一方、女性にあっては、正常BMI21.0to<25.0と同様のレベルとなります。
・肥満BMI(BMI30.0以上)
男女ともにBMI 30.0以上で死亡リスクは増すと判りますが、BMI≧35以上の超肥満レベルになると死亡リスクは1.5~1.6倍の増加となります。
以上より、65才以上の男女いずれにあっても他の年令レベルと同様に痩せと超肥満で死亡リスクは増加。
過体重で男性は死亡リスクの低下となる。
65才以上の男女とも、他の年令グループと同様にBMI 23.5to<26.5に維持するが良いとなります。
つまりは、全年令のチョイ肥満(過体重)で、死亡リスクは低くなるのです。