文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その16
肥満と痩せの危険性・・8
今回も、K.M.Flegalの2007年の論文からの紹介で続けます。
論文中の図2では、肺癌、肥満と関連すると考えられる癌、およびその他の癌について、体格指数(BMI, Body Mass Index)に依存して増減する死亡者数の変化を取り上げています。
ここで、肥満と関連する癌死と考えられている癌は大腸、乳、食道、子宮、卵巣、腎、膵臓の癌です。
以下に示す表は前回同様にBMI 18.5to<25での死亡者数を基準(0値で示す)として、それぞれのBMIに関連して増減する死亡者数の過剰(千人単位)で示されています。
プラスの数値は、BMI 18.5to<25での死者数より増加する人数を示し、逆のマイナス数値はBMI 18.5to<25での死者数より減少する人数を示しています。
表 BMIと癌死の増減 |
|||
BMI | 過剰死者数(千人) | ||
・肺癌 | |||
<18.5 | 1.2 | ||
18.5to<25 | 0 | ||
25to<30 | -12 | ||
≧30 | -7.2 | ||
・肥満と関連すると考えられる癌 | |||
<18.5 | 1.3 | ||
18.5to<25 | 0 | ||
25to<30 | -3.0 | ||
≧30 | 20.5 | ||
・その他の癌 | |||
<18.5 | 3.0 | ||
18.5to<25 | 0 | ||
25to<30 | 3.0 | ||
≧30 | 0.8 |
・肺癌
肺癌死ではBMIがチョイ肥満の25以上で低下傾向を示すと判ります。
取り分けチョイ肥満(25to<30)で肺癌死は低下となるようです
・肥満と関連すると考えられる癌
BMI≧30の肥満で顕著な癌死の増加となります。
しかし、チョイ肥満では、逆に低下を示す傾向にあるようです。
・その他の癌
その他の癌死では痩せ基準のBMI<18.5とチョイ肥満25to<30で増加傾向を示しますがあまり強いBMIとの関連性は示していません。
以上の結果は次のように言えます。
- 肺癌および肥満と関連しそうな癌死はチョイ肥満(BMI 25to<30)で減少。
- 肥満と関連しそうな癌死はBMIが30以上の肥満で増加。
- 痩せ基準BMI<18.5では、いずれの癌死にあっても増加傾向にある。