文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その15
肥満と痩せの危険性・・7
今回も、K.M.Flegalの2007年の論文からの紹介で続けます。
論文中の図2では、心血管系疾患死の原因となる疾患と体格指数(Body Mass Index,BMI)と死者数の増減についての話題としています。
心血管による死因では冠動脈系の心筋梗塞を代表とします。
その他の動脈血管疾患による死因としては脳出血、脳梗塞および動脈瘤や動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症など)が問題となります。
表はBMI 18.5to<25での死亡者数を基準(0値で示す)としてそれぞれのBMIによる死亡者数の増減で示します。
つまり、プラスの数値は、BMI 18.5to<25での死亡者数より増加する人数を示し、逆に、マイナス数値は、BMI 18.5to<25での死亡者数より減少している人数を示すことになります。
BMIと心血管死の原因疾患別死亡危険の増減 |
|
BMI | 過剰死(千人) |
・冠動脈疾患死(心筋梗塞等) | |
<18.5 | 2.5 |
18.5to<25 | 0 |
25to<30 | -12.5 |
≧30 | 47.5 |
・他の血管疾患死(脳出血、脳梗塞等) | |
<18.5 | 7.5 |
18.5to<25 | 0 |
25to<30 | -5.8 |
≧30 | 35.8 |
:冠動脈疾患死
心筋梗塞などによる冠動脈血管死は、BMIが30以上の過肥満で47.5千人、つまり、4万8千人位の増加となることが判ります。
逆に、正常BMI 18.5to<25に比して、チョイ肥満と言えるBMI 25to<30では12万5千人ほどの死亡者数低下となることを示しています。
つまりは、心筋梗塞死などによる死亡の危険はチョイ肥満BMI 25to<30で一番減少するが、本格的な肥満のBMI≧30以上で著しい増加となるのです。
:その他の動脈血管死
脳出血、脳梗塞などによる死亡者数はBMIが痩せ基準となる<18.5以下と過肥満基準であるBMI≧30で死亡者数が増すと判ります。
BMI<18.5では7.5千人のプラスとなります。その主な死因となるのは、脳出血の増加です。
コレステロール低下などによる低脂質によって血管が脆弱になるためと考えられています。
BMI≧30での35.8千人と著しい増加となるのは脳梗塞死等によるものです。
まとめ
心筋梗塞死や脳梗塞死は過肥満のBMI≧30で増加。
BMI<18.5の痩せでは、死亡者数は増加傾向となる。
取り分け脳出血などの死亡者数が増す。
冠動脈死およびその他の脳梗塞、脳出血などによる脳血管障害死も、チョイ肥満のBMI 25to<30で明らかな減少となる。