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アロマハンドトリートメント~現代社会の中で活かすコミュニケーションと自然療法による癒し

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

アロマハンドトリートメントで使用するマッサージオイル〈後編〉

アロマハンドトリートメントの第4講です。前講では、マッサージオイルの総論をお伝えしました。 今講では、浸出油についてお話ししましょう。

ハーブと植物油でつくる
浸出油(infused oil)とは、薬効のある植物であるハーブのうち、その有効成分が油溶性であるため植物油に浸け込んでその特性を引出し、ハーブのみ、また植物油のみの状態とは異なった用途、もしくは、一層効果的に用いることのできるように浸出させたハーブオイルを言います。
特によく用いられるハーブに、マリーゴールド(Calendula officinalis)やセントジョーンズワート(Hypericum perforatum)があります。また、ローズヒップやスギナ、セージやタイム、ローズマリー、ラベンダーなどでも浸出油をつくることができます。

基材となる植物油と浸け込まれるハーブとの関係こそ
大切になります。たとえば、マリーゴールドは傷を治すことが上手なハーブですから、肌に穏やかで癒傷作用が考えられる植物油を使用したいと思います。

マカダミアナッツ油は、
人間の皮膚表面にある保護膜でもある皮脂にも多く含まれるパルミトオレイン酸(POA)という不飽和脂肪酸が、マカダミアナッツ油にも同様に含まれるためです。要するに、マカダミアナッツ油は、肌なじみがよく、荒れた肌を保護しいたわるため、癒傷作用が知られるマリーゴールドの花と一緒になると一層効果的な働きをします。

詳しく言うと、
マカダミアナッツ油は、肌にやさしく肌が荒れている人やひび割れやあかぎれ、乾燥して痛んだ肌によい植物油です。また、自律神経系の働きを助けることも知られています。

マカダミアナッツ油とマリーゴールド=カレンデュラ(Calendula officinalis)の浸出油は、
肌を癒し、不安定になってしまった肌の状態を改善するために相乗効果を発揮します。特に、口唇炎やあかぎれ、ひび割れ、手の乾燥と傷、痔にもよく、痛んだ肌を修復する作用が高くなります。マリーゴールドの浸出油は、一般にラテン語の学名がCalendulaであることから、カレンデュラオイルとして知られています。また、このカレンデュラオイルは、手のケアばかりではなく、静脈瘤や浮腫み全般にも効果的なため、手のケア、心身のケアに使用します。また免疫の活性と抗菌作用も知られるため、様々な場面で、アロマハンドトリートメントケアとして使用します。

口唇炎やヘルペス、肌の乾燥などに重宝するカレンデュラオイルは、
加熱しても酸化しにくいマカダミアナッツオイルを基材にしてつくると、ミツロウと一緒に温めてつくる軟膏やリップクリームに適しています。

加熱すると酸化しやすいタイプの
スイートアーモンドオイルやオリーブオイル、グレープシードオイルでの軟膏やリップクリームづくりは、お勧めできません。とても有効性の高いオイルであっても加熱すると酸化しやすいため、作り置きができにくくなります。リップクリームや軟膏などをミツロウなどの基材と合わせて温めてつくる場合は、マカダミアナッツオイルで、マリーゴールド(カレンデュラ)の花の溶出をします。

軟膏やリップクリームにしない場合は、
オリーブオイルなどの血流を改善する特性の植物油にマリーゴールド(カレンデュラ)の花を浸け込んでつくり、静脈瘤や浮腫みに効果的なマッサージオイルにしてもよいケアオイルになります。

カレンデュラの浸出油のつくり方は、とても簡単!
学名がCalendula officinalis(カレンデュラ オフィキナリス)である、カレンデュラの花(できれば有機農法であり新鮮で鮮やかな花の部分全体)を使用します。花の塊ごと使用できたらもっとも効果的です。植物油は、常温圧搾(低温圧搾)で未精製のガス充填などされていない新鮮なものを用います。

① Calendula officinalisの花30gを花びらの部分とガクとめしべ・おしべの部分を細かく手で分けておきます。

② ①を透明のガラス瓶などに半分ほど入れ、常温圧搾未精製のマカダミアナッツオイルを注ぎます。

③ ②に残りのCalendula officinalisの花を入れ、再び、マカダミアナッツオイルを注ぎます。

④ ②、③では、ガラス棒でよく花とオイルが浸るように押し混ぜます。

⑤ ガラス瓶のふたをして、3週間ほど置いておきます。この時直射日光は避けますが、温度は常温が最適です。

⑥ 出来上がったら、遮光瓶で保存して3か月くらいで使い切ります。

出来上がったオイルは、リップクリームや軟膏、傷や痔、静脈瘤や浮腫みのケアに使用します。特にアロマハンドトリートメントでは、自律神経バランスを整えるケアや、浮腫みを改善するためのケアによく用います。
わたしも、バッグの中にいつも、カレンデュラオイルでつくったオレンジ色の鮮やかなリップクリームを持ち歩いています。アロマハンドトリートメントケアとその周辺の日常のいろいろなシーンで本当に重宝します。

セントジョーンズワートやローズヒップなど、様々なハーブを浸出してつくる浸出油は、用途ごとに少しずつつくっておくと便利です。ぜひ、参考に。

環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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