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アロマテラピー(芳香療法)基本のレシピ

一般社団法人アロマハンドトリートメント協会代表理事
木之下 恵美 Megumi kinoshita

褥瘡予防のアロマテラピー アロマクレイスプレーとアロマクレイバス

アロマテラピー(芳香療法)は、セルフケア以外にも医療、医療周辺の現場などで、香りを嗅ぐこと以外のケアに用いられています。アロマハンドトリートメントの手法とそれによるヒーリング効果も、最近はよく知られるようになってまいりました。今回は、アロマハンドトリートメントの授業の中でも、紹介する褥瘡(じょくそう)の予防とともに軽度で回復させるためのアロマテラピーをお話ししましょう。
重度の褥瘡の方や医療での処置が施されている場合は、褥瘡を患っている方の家族の皆さんはもちろん、お医者様や医療関係の皆様にご相談をいただき、確認をしていただいてから行います。

褥瘡の定義
じょくそう。重症患者が長期間病床にある場合に、衣類、寝具によって圧迫をうける部位に生じます。床ずれともいわれ、赤くはれてただれ、痛みを伴います。ひどくなると、深部の骨組織まで侵食する傷となり、手術を必要とすることもあります。

褥瘡発生の要因
 1. 長期間もしくは長時間にわたる同姿勢
 2. 湿り気の多く、風通しが悪い状態が皮膚表面組織に長く続く
 3. 低栄養
 4. 高齢もしくは疾病による皮膚表面組織や皮下組織の脆弱化

これらが長く続くと、褥瘡を起こしやすくなります。

褥瘡をトータルケアで
要因から考えても、褥瘡には、トータルケアが必要となってきます。
褥瘡のケアとしては、体位変換時の注意、排泄物や湿潤への注意や、清潔に保つための入浴や清拭、おむつやシーツ、夜間着の通気性、撥水性クリームなど、エアマットやクッションなどを使った予防を取り入れるような努力が行われています。
また、入浴と同時に足浴が代謝を活発にするため、褥瘡に対しても効果的であることが知られています。また、褥瘡の起こりやすい骨突出部は特に注意が必要であり、フィルムドレッシングでのケアを推奨しています。特に高齢者の場合は、皮膚が思うよりもずっとデリケートであるためより一層の注意が必要であるということも知られています。

褥瘡の局所ケア
手術とともに感染を防ぐ療法が行われています。ただし諸事情(高齢者であることなど)から、困難な場合も多くあるようです。また、術後のケアも大切になってきます。

クレイについて
クレイは、2010年12月号を参照に。

クレイは、産出地やその組成によって、働きや特性が異なってきます。たとえば、イエロークレイは、ケイ素を約60%、酸化アルミニウムを22%含み、粒子は非常に細かく、新陳代謝の促進と肌のトラブル改善、深部洗浄効果に優れています。鉱物学での分析は、カオリナイトとイライト(マイカ)を多く含みます。グリーンクレイは、ケイ素を約55%、酸化アルミニウムを15%、酸化カルシウムや酸化鉄なども含みます。粒子はやや粗く、ミネラル成分が豊富で、肩や背中の痛みやひざなどの関節痛に用いられます。鉱物学での分析はイライト(マイカ)を多く含みます。ピンククレイは、ホワイトクレイとレッドクレイのブレンドクレイです。ケイ素を55~58%、酸化アルミニウムを20%、酸化カルシウムや酸化鉄、酸化カリウムなどをバランスよく含有しています。フェイシャルパックを試すときに最初に選びたいクレイです。オイルやクリームと合わせると穏やかです。鉱物学での分析は、カオリナイトやイライト、クローライトを多く含みます。レッドクレイは、ケイ素を約58%、酸化アルミニウムを18%、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化カリウムなど各種ミネラルをバランスよく含有しています。粒子は細かく、鉄分が豊富で、身体の再生作用があり、脱力感や疲労感の症状を改善します。鉱物学での分析はカオリナイトとイライト、クローライトを多く含みます。

褥瘡の局所ケアをクレイで考える
クレイを選ぶ方法が精油やオイルを選ぶときのように大切であることは、上記でお話ししました。選び方によって、その効能もずいぶん異なってきます。
今回は、褥瘡のケアとして、
 1. 肌がデリケートである方
 2. 齢の方
 3. 常時、褥瘡の状況に目を配ることができない方
であることを考えなければなりません。

もっとも使用しやすく、効果的な方法は、クレイバスです。入浴時に、大さじ5杯ほどを目安で毎日、入浴していただけたら一番ですが、そうはいきません。介護の褥瘡ケアでも、 認識されているように、足浴による新陳代謝アップによる褥瘡を予防、軽減するケアを行うことは、効果的で現実的なものかと思われます。また、足浴時に、クレイバスを用いる方法は、より効果を高めます。また介護を行う側にもメリットがあります。

  • 1. 消臭ができること
  • 2. お湯のみよりも短時間で温まっていただけるので、いつもの時間量でも、代謝促進ができ、上がった後も、長い時間、あたたかい状態でいていただけるので満足していただきやすいこと
  • 3. 使用するクレイ量が少ないため、褥瘡ケアとしては、コストパフォーマンスがよいこと
  • 4. クレイには、抗菌特性があるので、感染症予防につながること

また、これらのメリットは、精油を少量入れることによって、より一層効果を増します。
クレイは、イエロークレイとグリーンクレイのブレンドに、ティートリー精油をブレンドします。
感染症予防のための精油の選択です。

クレイバスを足浴で使用する
イエロークレイは、深部洗浄に向き、新陳代謝と肌トラブルを軽減します。グリーンクレイは、関節痛などの痛みや炎症を軽減するために効果的です。これらは、足浴部分に感染症がある場合も効果的です。
あらかじめ、混ぜておくと使いやすくなります。クレイのみのブレンドは、保存がききます。
ティートリーは、あらかじめ混ぜておきません。クレイにブレンドすると、揮発してしまったり、保持期間が短くなってしまいます。

  • 1. 状況に応じて、イエロークレイとグリーンクレイは、配合量を調節してもよいでしょう。
  • 2. 足浴であれば、ティースプーン1杯~2杯くらいの希釈をします。
  • 3. ティートリーは、2.を入れた後に、1~3滴入れてよく混ぜてから、入ってもらいます。

においが気になる場合・・・サイプレス精油 1滴 + ティートリー精油 2滴
炎症が気になる場合・・・カモミールチンキでクレイを練って、クレイバスとする

クレイスプレーを使用する
クレイスプレーは、褥瘡を起こしそうな場所、もしくは褥瘡を起こした場所にスプレーします。 日内の回数が多いほうが効果的です。ガーゼなどで褥瘡部位をふさぐ場合は、スプレーごとにガーゼの取り替えをします。

【クレイスプレーの作り方】
ホワイトクレイ1gを精製水50mlで割り、そこへティートリー精油を10滴入れてよく混ぜます。
使い切り期限は、2週間程度を目安としますが、できるだけ短い期間で使い切るほうがよいでしょう。そのため少なめに作ります。

このスプレーは、傷や炎症にも使うことができます。また、あせもや虫刺され、水虫などの白癬菌や疥癬に効果的です。
ガーゼや綿を褥瘡を起こしやすい仙骨にあてる場合は、その部位と周辺にスプレーします。クレイが摩擦を防いでくれますので、効果的です。

上記のクレイスプレーは、医療処置が行われている場合は、それを行う医師、看護師等と勉強会を行ってから、実践しましょう。チーム医療の一環として行うようにしましょう。


環境省認可法人(社)日本アロマ環境協会インストラクター
初穂香房主宰
Lavozouアロマテラピー講師
栄中日文化センター講師
1995年よりアロマテラピー講師として活動
ホームページアドレス  http://www.lavozou.com/index.html


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