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ガーデニング

園芸家 栄中日文化センター講師 名古屋野生蘭同好会会長
吉田 篤

しだれ梅

 早春に咲く花木の中で、ひときわ華やかなしだれ梅の人気は高く、庭木や公園などに多く植えられています。しだれ性なので、コンパクトに仕立てられ、鉢植えや小さなスペースにも植えることができます。
普通の梅よりも少し遅く、2月中旬~3月にかけて開花します(名古屋市)。まだまだ寒い時期なので花持ちも良く2~3週間咲きます。

・主な八重咲き種・・・八重咲き種は、豪華で開花期間も長いので人気があります。
 ピンク花・・・「藤牡丹枝垂」(ふじぼたんしだれ)、「呉服枝垂」(くれはしだれ)
 赤花・・・「紅枝垂」(べにしだれ)、「緋の司枝垂」(ひのつかさしだれ)
 白花・・・「緑萼枝垂」(りょくがくしだれ)、「白滝枝垂」(しらたきしだれ)


名古屋市農業センターは12品種、約700本のしだれ梅が咲き誇ります。

・剪定の仕方
 花後すぐに、新枝(昨年伸びた枝)の新芽を2~3芽残して剪定。その時、枝の外芽(外側に向いた芽)又は上芽(上側に向いた芽)の所で剪定する。

剪定をしないと、枝先の芽が伸びてしまい樹形が乱れ、花の密度が薄くなってしまいます。花芽は新しく伸びた新枝にしか付きません。樹木は、より多くの太陽の光を得るため枝の先端の芽を活性化して伸ばします。なぜ外芽、上芽の所で剪定するかというと、先端の芽が伸びますので、外芽、上芽なら外側にふんわりとした枝姿になり良い樹形になります。内芽なら内側に枝が伸びて幹に当たってしまいます。下芽なら真下に枝が伸びてしまい、良い樹形にはなりません。


「呉服枝垂」(くれはしだれ)


「呉服枝垂」(くれはしだれ)


「緑萼枝垂」(りょくがくしだれ)


「藤牡丹枝垂」(ふじぼたんしだれ)  開花すると淡いピンクになります。
あと一月足らずで、しだれ梅の開花です。もう春はすぐそこですね。

・名古屋市農業センターでしだれ梅を楽しんだ後は是非、4月上旬にしだれ桜で有名な名古屋市東谷山(とうごくさん)フルーツパークを訪れてください。約1,000本のヤエベニシダレは圧巻です。


名古屋市東谷山フルーツパーク、 「ヤエベニシダレ」

・枝垂れ(しだれ)
上方に伸びた枝が、ゆるやかに下方に伸びる樹形のことをいいます。柳、桜、梅、桃、エゴ、など多くの樹木で知られています。実生と枝変わりで選抜されています。枝変わりとは、標準個体の枝から突然、枝垂れ性の枝が出ることで、その枝を、挿し木や接木で増殖します。
・枝変わり
園芸種の作出には、交配による実生が一般的ですが、果樹や花木などでは「枝変わり」によって作出される物もあります。果樹では、その枝だけ違う実がなったりするとその枝を増やして品種を固定します。以前、私の九州の友人のみかん園で、温州みかんの枝に、赤みの強い実が一枝なりました。その枝の実は毎年赤い実を付けるので、その枝を接木で増やして、別品種の赤みかんとして出荷しています。リンゴでもその枝だけ毎年違うリンゴがなれば、遺伝的に固定された別品種が生まれたといって良いでしょう。それから、これは枝変わりとは言えませんが、ギボウシの品種物は、オランダでメリクロンにて増やされています。メリクロンなので当然同じ個体のはずですが、たまに違った葉模様の個体ができたりします。その個体は別品種に登録されています。
・メリクロン
動物のクローンと同じ意味です。植物の新しく伸びた芽の先端(細胞分裂の盛んなところ)を切り取って、無菌状態のフラスコの中で、増殖した苗のことをメリクロン苗と言います。クローンですから全く同じ花を作ることができるため、最近の園芸植物は、メリクロン増殖の物が多いです。

植物の知識が広がる講師H.P.
http://floweryhill.net/

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