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茶の湯文化は日本のグローカル文化

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

健康で文化的な日常茶飯の生活 2

信天流喫茶は可能な限りの飾り気を排した誠の慎み深い心を持って、直心の会話によって人と交わり、心の絆で結ばれる「麁相の心」をキーとします。
「麁相の心」は過去に学び、古きに雁字搦めに拘ることなく、俯瞰思考と創意を大切にするレトロモダニズムを求めるのです。
日常茶飯な自然や内なる自然との共鳴と人々との信頼の粋に生きる喜びです。
何事であれ、上滑りではない真面目さを必要条件とします。

「赤毛のアン」の著者・モンゴメリーの「Simple little pleasure following by one another day」の日常茶飯です。
しかし、「There is a bend in it」があります。
そうした困難が発生した時に忘れてならぬのが「麁相の心」に基づく「真面目さ」です。
1989年のベルリンの壁の崩壊によって共産主義が、2008年の国際的金融危機を発したグローバル資本主義による市場原理主義が矛盾を露呈しました。
いずれの主義もグローバルな一極的支配を求めたが、瓦解したのです。
「価値観による選択の自由」を制限する多極性、多様性を認めない社会条件では人々の幸せはないとの歴史的事実だと思います。

今や、人間が人間らしく生きるために、過去に学び、一人一人が如何様に生き、果たす役割を考える時です。
「不可能性の時代」の著者・大澤真幸が指摘するように、実効的な普遍主義となっている人権と民主主義による秩序の前提となる模範を求める「神話的暴力」が、その秩序の前提の崩壊によって崩れています。
一方で、閉塞感からの解放を求めて「神的暴力」たる「純粋暴力」によって秩序を否定する暴力が氾濫しています。
国際的レベルのテロのみならず一人一人の身近な生活環境レベルに及んでいます。
「決壊」の作家・平野啓一郎が指摘するように、NHK大河ドラマも、最早、武士社会の人物から離脱するべき時です。
武士道や国際社会での武力や軍事力で問題解決を正当化する時代は終らせるのです。
また、権力、金力、愛力、武力の幻想による支配、ポピュリズム的"適応"基準、監視などによる閉塞感状態にあるのです。
人は「力」で動かすのではなく「心の絆」で動かさねばなりません。

国家権力の三権(司行立)、農工商に加えて、学、宗、医、教を含む既成の"権威や聖人"社会で下流化が起り、二枚舌で皮相上滑りのポピュリズムが横行して、マスメディヤやIT技術による情報発信によって、"信じていたのに"と社会的不信が助長されました。
自省なき「私は悪くない症候群」に陥って、人間味の下流化状況にあります。

信天流から言えば、「麁相の心」による「真面目さ」の消失にあるとなります。
自然や麁相の心に背を向けた人間味の下流化により文明的環境は限界です。
既成概念の善悪を越える人との絆を真面目な麁相の心で求める信天流喫茶で且坐喫茶しよう。
アンのように日常茶飯に喜びを見つけよう!!

茶の湯文化は日本のグローカル文化
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