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インターネット公開文化講座

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茶の湯文化は日本のグローカル文化

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

健康で文化的な日常茶飯の生活 15

自然との絆・・5

ジャック・アタリ(「21世紀の歴史」林昌宏訳)によるノマドロジー(定住民に対して遊牧民のように絶えず国の内外を移動して他者との関係を拡大し続ける生き方をする)時代となって超国家的地球レベルの人々の交流、流動が起っています。

今や日本や先進国は経済成長を求めて発展途上国に期待と群がりが起っています。
かつての我が国の右肩上がり経済成長時代のように、発展途上国では自然や地球環境破壊を伴う経済成長的発展を煽っています。
しかし、発展途上国として煽る地域は、次から次へと地球上では狭まっています。
何時までも経済成長を煽る時代は続かないことを意味します。

我が国では、最早、バブル的右肩上がりを夢みた経済成長への期待は、妄想、幻想の時代となっているのです。
産業革命以後続いてきた経済発展を求めた煽り文化は、このままでは自然、地球環境破壊を誘発して、人類の地球上での生存が危ぶまれています。
地球レベルの炭酸ガス(CO2)発生をコントロールすることによって地球環境を維持しようとしても、各国のエゴによって、「吾唯足るを知る」ことを忘れてしまいました。

我が国の喫茶、茶の湯文化が基本としてきた麁相の想い、つまり、鎮めの文化による自然との調和、共鳴の大切さが日常茶飯の生活から忘れられたことにあると思います。

江戸時代の国学者・歌人の橘曙覧(1812~1868年)は「独楽吟」(「橘曙覧全歌集」岩波書店)で五十二首を詠んで日常茶飯の四季が移ろう「たのしみ」と「よろこび」を暮らしの中に見つけています。
私のお気に入りを紹介します。
「たのしみは 庭にうゑたる 春秋の 花のさかりに あへる時々」
「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで なかりし花の 咲ける見る時」
「たのしみは 珍しき書 人にかり 始め一ひら 広げたる時」
「たのしみは 昼寝せしまに 庭ぬらし ふりたる雨を さめてしる時」

「独楽吟」は英訳されて、煽りの国、アメリカの大統領クリントンが1994年に天皇陛下が訪れた時の歓迎レセプションで両国の平和を願って一首を読み上げられる程です

私の日常茶飯の独楽吟・「楽しみは 小鳥やハトの 庭畑に 文机から 見えたるの時」
「嬉しさは 雪間にのぞく黄桃の 花芽ふくらむ 見つけたる時」

茶の湯文化は日本のグローカル文化
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