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インターネット公開文化講座

文化講座

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且坐喫茶:日本文化のグローカル性

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

日本画

日本画家・小山硬(嘉多志)は、プラチナをベースとしたグレーを基本に、その作品を描いている。
プラチナグレーによる水墨的表現と言える。
以前より、画家とは日本文化、日本画とはとよく議論になる。
西欧的絵画と日本画・東洋画との相違はどこにあるかと問題となる。

今日では画材をオイルか、膠に溶くかによる相違ではないかの議論をよく聞く。
用いられている絵具は、今や、オーバーラップが多く、区別は困難となっている。
絵画芸術における自由な広がりは表現方法によるいろいろな議論となる。
日本画は法隆寺の玉虫厨子の台座絵に観る様に平面表現によって、インド由来の時間ファクターを組み込んだ物語性を含んでいた。
そして、花鳥風月を中心としてきた。
歴史的に東西文化交流も強い。

印象派の人達に与えた浮世絵や版画の表現法は西欧絵画に大きなインパクトを与えた。
一方で、ルネッサンス以来の西欧絵画表現法は、ピカソ達キュービズムの人達に与えたアフリカ的表現法も含めて、日本の絵画や日本画の世界にも大きな影響を与えている。
今日の日本画の特色を、画材、表現法による区別は困難となっている状況にある。
絵画、芸術の世界はボーダレスとなり、ジャンル的にも何が絵画で、何が芸術かと言う事も容易ではない現実となっている。

西欧画の世界で認められた藤田嗣治の作品を観ると、明らかに、日本画的表現法を油絵の世界への導入による評価といえる。
ニューヨーク近代美術館も評価する奈良美智の作品も、フラットな表現法にその魅力がある。

今日、「スーパーフラット」によって、国際的評価の高い村上隆の芸術表現も、東京芸大日本画科出身での日本画による最初の博士であることを背負っていることは明らかだ。
大和絵、宗達、琳派の流れ、伝統を伝える日本美術院にあっても、村上裕二の描く日本画もその存在感を明確にしている。

小山硬のプラチナグレーによる水墨調表現に加えて、田渕俊夫による水墨画の存在は、日本画、東洋画とはの発展と主張をしていると私には伝わって来る。
日本文化のグローカル性から見て、日本画の芸術的存在の意義を認識することが出来る。
茶の湯が日常茶飯を生活総合文化として昇華した日本文化の基本思想を伝えていると私は思っている。
「市中の山居」で且坐喫茶しながら日本文化のグローカル性と日本画を考える時、利休の美意識、芸術観が見えてくる。

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