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お茶成分と薬効

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

β--カロチンとサプルメント

前回に引き続きCancer Factsから紹介する。

β--カロチンとは?
βーカロチンはビタミンAの前駆物質であり、生体内でビタミンAに変換される。
β--カロチンを多く含む食物は果物や野菜で黄色、オレンジや緑色の色の濃いものだ。例えば、ニンジン、スクワッシュ、ヤム、桃、アプリコット、ホウレンソウ、マスタードグリーンやブロッコリなど。
β--カロチンは抗酸化物で、DNAを傷つけてガンの原因となる物質から防禦すると考えられ、期待されている。
疫学的調査研究によるとβーカロチンを沢山に含む食べ物を多く食べて、血中のβーカロチンのレベルが高くなっているとガンとなる危険性が減少するとある。特に、肺ガン予防になると言う。

ビタミンA とは?
ビタミンAはビタミンの一種であるから人間にとっては食べ物から摂取しなければならない成分なのだ。
ビタミンAは肝臓に多い。食物としてはミルク、チーズ、バター、アイスクリームなどの脂肪物に多く含まれる。また、ニシン、いわし類、ツナなどの脂肪の多い魚。サメ、タラなどからの肝油に含まれる。
 ビタミンAの作用としては細胞を分化させる大切な役割があることが知られている。細胞が分化、成熟することはガン予防となるのだ。細胞が正常な分化成熟をして、身体内でそれぞれの細胞が持つ役割をはたす必要がある。しかし、身体内のコントロールから外れた未熟な細胞が自分勝手に増殖して増えるようになることはガンと言う病気になることを意味するのだ。

サプルメントとしては?
動物を用いた実験研究によるとビタミンA やその仲間の成分がガンの発生を減らすとの結果が得られている。
それにもかかわらず、科学的信頼性の高い人間レベルの実験的研究である栄養介入試験では、むしろ逆で例えば肺ガン発病率が増える結果となって良くないのだ。
既に紹介したようにCAKET試験によって、β--カロチンとビタミンAをサプルメントとして飲んだ人達は予想に反して肺ガン等による死亡者数は増加してしまった。

また、ATBC試験と呼ぶβ--カロチンとα−トコフェロールをサプルメントとして飲んだ人達にとっても、同様の結果だった。つまり、β--カロチンとα−トコフェロールを摂取した人達には肺ガン発生や死亡率が上昇してしまったのだ。

以上の結果、判ることは次のようだ。動物実験では良かったり、人間にとっても食物より摂取したβ--カロチンやビタミンAの場合、血中レベルが上がって良い効果を示すとの事実がある。しかし、それでもサプルメントとして摂取したら、逆に悪い効果となってしまうことがあると言うことだ。
言って見れば、人間にとってサプルメント摂取が良いと言えるのは容易ではないのだ。
量や質や飲み方も含めた問題があるからだ。思い当たるサプルメントは他にも沢山ある。安易なサプルメント摂取は害となることがあるのだ。
以上の事実を踏まえて、NCIはアメリカ国民にβ--カロチンのサプルメント摂取について如何にすべきかとアドバイスしている。次回紹介する。

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