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お茶成分と薬効

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

β--カロチンとガン予防(a)

 アメリカの国立ガン研究所(NCI)が一般の人達に向けて発するニュース、Cancer Facts に出されたβ--カロチンとガン予防について紹介する。1997年6月27日のものだ。
β--カロチン摂取に警告を発している。皆さんの認識とは差がありませんか。
まず第1項目として、β--カロチンのような化学成分によるガン予防試験とはどういう意味があるかについて説明している。
続く第2項目で、三つのグループによるβ--カロチンを含む化学成分がガン予防となるかどうかを検討した予防試験を紹介している。

まず、NCIがフィンランド国立衛生研究所と協同で行ったαートコフェロールとβ--カロチンのガン予防試験(ATBC試験と呼ぶ) について説明する。
試験の目的はベーターカロチン、ビタミンからなるサプルメントがフィンランドのタバコを吸う29,133人の男性グループに対して肺ガンやその他のガンを予防するかどうかを検討するものだ。
参加した対象者の年令は50~69才。一日の摂取量はα−トコフェロールが50mg、β--カロチンは20mg、プラセボと言って偽装薬を摂取する組み合わせをグループに分けて5年~8年間追跡する計画だった。
次の試験として米国内で行われたβ--カロチンとレチノールを飲んでもらうガン予防試験(CARET試験と呼ぶ)を紹介している。

試験の目的はβ--カロチンとレチノール(Vitamin A)を組み合わせたサプルメントが肺 ガンやその他のガンを予防するかどうかを検討するものだ。
対象となった人達はタバコを吸ったり、吸ったことのある50~69才の男女と45~69才のアスベストにさらされた男性。
しかし、18,314人の試験参加者はCARET試験が終わる前に中止された。

三つ目は医師を対象とした予防試験だ。
対象となったのは、22,071人の米国男性医師で、そのうち11%の医師がタバコを吸っていた。
試験目的はβ--カロチンのサプルメントがガンや心臓病の危険を減らすかどうか検討したものだ。
同時に少量のアスピリンが心臓病の発病を減らすかどうかも行われた。
アスピリンについては1988年初めに中止されることになった。
その理由はアスピリンを摂取した場合、44%の人達が初めて起る、つまり、一回目の心臓病発作を予防することが明らかになったからだ。
β--カロチンについては1995年12月31日に終わった。

以上、β--カロチンをサプルメントとして用いた三グループのガン予防試験が行われた。しかし、その内のATBC試験とCARET試験は途中で中止された。
中止の理由は何と予想に反して、β--カロチンの摂取グループで肺ガン発病の増加が起こってしまい、また、死亡する人達の増加も見たからだ。
次回もこのCancer Factsでβ--カロチンについて紹介されている内容を続けて説明する。

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