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中国茶

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

黒茶

黒茶は中国独特の茶。香港や外国で愛用されている輸出用の茶とも言える。その代表がプーアール茶で、中国の友人達でもあまりよく知らない人が多い。雲南や四川省の人達でもその傾向にある。

黒茶は緑茶や黄茶と同様に摘採された新鮮な茶葉の「殺青」を早々に行う。酸化酵素を不活性化してカテキン類の酸化を止めるためだ。不酸化、不発酵茶の製造工程から始まるのだ。緑茶はその後「揉捻」、「乾燥」して製品化する。一方、黄茶は前回に記したように「悶黄」と言う軽度の「後発酵」、つまり、酸化を促す。

黒茶も「後発酵」を行うが、その方法は大きく異なる。黒茶と言えば、雲南省の「プーアール茶」と呼ばれる茶を思い出すが、プーアールは雲南省南部の県で茶の生産地ではなく、集散地の中心なのだ。

プーアール県に集められたお茶は二次の再生加工が行われて、国の内外へ販売されていく。この茶産地域の茶を総称してプーアール茶と呼ぶ。プーアール茶と言っても、必ずしも黒茶ではないことになる。とは言っても、プーアール茶と言えば後発酵茶の黒茶を意味していることが多い。

黒茶は茶葉の酸化酵素を殺青によって不活性化した炒青緑茶や晒青緑茶を「渥堆」と呼んで湿らせた茶葉や水分の残る茶葉を積み重ねてカビを繁殖させ酸化、発酵させる工程を行う。つまり、微生物による酸化が「後発酵」なのだ。

後発酵後に「復揉」(二度目の揉捻)して、乾燥後、製品化する。これがプーアール散茶の基本的な工程だ。しかし、あまり工程が公開されておらず、ノウハウが多いようだ。この後発酵の過程で、かび臭くなると言うことになる。

緊圧茶と呼ぶ固形茶を我々はよく目にする。この固形茶は緑茶や黒茶の散茶を再度湿らせて、いろいろな型にプレスしたもの。湿らせて早々にプレスした緑茶に近いものから色々ある。

固形茶(緊圧茶)には、緊茶、餅茶、沱茶、方茶、磚茶等があり、緊圧茶類の代表的な形でもある。それぞれによって、製法、品質、地域等に特色や差がある。また、歴史的には、皇帝に貢茶された銘茶もある。

黒茶には年代物があり、カビ臭さが強いものまで、多種多様。ブルーチーズと似たような所がある。何度も熱湯を注いで飲める。その茶湯の色や茶味の変化に妙味があるのだ。

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