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インターネット公開文化講座

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中国茶

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

白茶の楽しみ

白茶は前回述べたように、白毛に覆われた大きな芯芽を「不炒不揉」、つまり、茶芽を乾燥しただけの茶葉なのだ。緑茶のように大量に製造されていない。我が国では白亳銀針、白牡丹、寿眉などが目に入る。

われわれは、日常の飲料として、緑茶、青茶、紅茶やコーヒー等、味がしっかりした飲み物に親しんでいる。白茶の味は淡い。

わずかに酸化しただけの白毛に覆われた乾燥芽茶は、ほのかで淡い香と味を持った美しい茶葉であるから、白茶を楽しむ環境が重要となる。雑然とした雰囲気では白茶の美しさや茶味を楽しむには合わない。

白茶を楽しむには心のゆとりがある時がよい。白亳銀針は一芯一葉の白芽茶で、白茶の代表。姿、形も美しい。「釜炒り」や「揉まれ」ていないから、茶成分の浸出はゆっくりで純を感ずる。以上の点に注意した茶の楽しみ方となる。

白亳銀針を例に説明する。銀針を思わせる白茶葉の美しさを楽しみながら、湯を注ぐ。白毛がチカチカと離れて茶湯に散る。湯に浸った白茶が水分を含んでふっくらとする様子を見る。そうなると銀針が湯面から底部へとゆっくり下り始め、上下する。その動きは茶舞と言って良く、楽しい。茶舞と茶色を観察するためには、緑茶、青茶のごとく陶磁器製の茶壷や茶杯、蓋碗を用いたのでは楽しみが半減する。グラスを用いること。

およそ3グラム位の白茶をグラスに入れる。湯は70~80℃位がよく100℃に沸騰した湯では白茶中に含まれる渋み、苦味成分等まで浸出させてしまう。ちょうど、我が国で玉露を入れるのと同じだ。

湯を注いだ後、香が消えないように蓋碗等の蓋をして蒸らすのが良い。

湯を注ぐと白茶は表面に浮かんで立ったようになる。続いてグラス底に下りて沈む茶針も出てくる。銀芯が上下して動く様子の観察を忘れてはいけない。

しばらくすると湯色は薄い透明感のある薄橙色となり、銀針の上下運動も少なくなる。

白毛も浮遊する。そのころが飲み頃なのだ。まず、蓋を取って香を楽しむ。そして、ゆっくりと一口一口と飲んでいく。喫茶の座の風景、風情、加えて集まった人達との会話が大切となる。

クリアー(clear)、ロジカル(logical)、フェアー(fair)でアイデンティティー(identity)のある人達との且坐喫茶が好ましい。

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