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私の茶寄り合い

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

日本の横笛奏者・藤舎名生

日本音楽は茶寄り合いにも大切な役割を持つ。藤舎名生師の能管や篠笛は抜群に優れている。古典に加えてアドリブも得意とする。

1月23日に洋服の「トリイ」の創設者・鳥居功冶師のお別れの会が行われた。その会で親しかった故人を偲んで笛を吹くために、名生師は前日に来名した。その22日には鳥居邸にある能舞台で、まず、故人の遺影に向かって、後継者である清水庸一、みゆき夫妻の見守る中で笛を吹いた。夕刻、我が家にて、故人と親交のあった名生師、清水夫妻、加藤敬也夫妻、川崎究師、鈴木厚良師が故人を偲んだ。料理は前回取り上げた教養人・川崎究師にお願いした。小山硬夫妻、衆議院議員の古川元久師は都合で出席できなかった。

料理は中国料理で、和風がしのばせてあった。湯菜は浅蜊と鶏皮のお吸い物。大菜として、彩り野菜と鶏肉の炒め物、蟹肉と卵の白身の併せ炒め、オマール蝦の蒸し物。小吃は火腿スープ麺の白髪葱のせ。冷菓はココナツミルクのプリンであった。

茶は食前茶として、キーマン紅茶。食後茶はジャスミン茶を点てるよう、究師より求められた。ジャスミン茶は、今一つ、上手に点てられなかったのが残念だ。

参加者は自由人で料理通でもあるが、直心より楽しんだ。オマール蝦は一ヶ月ほど前に米国の友人から生きた状態で送られてきた。究師の誇るゲオ液を用いて冷凍してあったものだが、解凍したオマール蝦の脳と筋肉の新鮮さに皆んなが驚いた。料理の達人でもある陶芸家の敬也師はゲオ液は本物だと保証。本人も食品保存液として使用を希望した。近々、ゲオ液が基本の化粧液が発売されるとあって、清水夫人は、一層、喜んだ。

こうした茶寄り合いでの会話の中で、日本文化を愛した故人を偲んだ。お別れ会では、まず、名生師の笛「安らぎ」から始まった。故人の次女であり、清水庸一師と共に「トリイ」の後継者であるみゆき夫人による親族代表謝辞は名生師のアドリブによる笛の音を背景に行われた。大変素晴らしかった。夫妻の賢さをのぞかせた。

名生師は国際的な横笛奏者として知られた名人だ。ローマ法皇の前で笛を吹いた時に一緒であったが、祈りの気持を一層高めたと賞された。日本文化の粋が国際社会の人々の心に響くことを示すものだ。日本文化の普遍性に、もっと、注目すべきだ。

私の茶寄り合いでは大切な課題だ。

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