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私の茶寄り合い

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

教養人・川崎究

茶寄り合いでは一品の手料理が大切だ。素材の良さを生かす名人に川崎究師がいる。

師はゲオフーズで食品の保存法を始め、化粧品、医薬品等の研究開発を指揮する。ビジネスマンでもある大変な教養人だ。料理人、美食家としてのみならず、漢文は原書で読み、音楽や絵画についても見識を持つ。デザイン家としても、京大時代以来、通用する。

茶寄り合いでの手料理の一例をお話しする。昨年、洋服の「トリイ」の会長で、今は故鳥居功冶師より、知る人ぞ知る間人(タイド)の珍品であるズワイガニを生きたまま送ってもらうことになった。その予定日を究師に早々連絡、料理してもらうことにした。参加者は前々回の加藤敬也、前回の小山硬と鳥居功冶の各師を予定した。しかし、残念ながら敬也、功冶師は都合で出席出来なかった。

当日の蟹料理を紹介する。塩茹でを予想するが、それが違う。まず、胴体部より足と鋏部を解体。胴体部は蒸したのだ。足と鋏部はアルミホイルに包んで、フライパンで焼いた。蒸したときの湯には、蟹の味が少し抽出される。岩塩、ショウガ、白味噌でちょっと味付け、蟹足一切れが色を添えた椀物とした。

料理はいずれも絶品であった。敬也師の食器に盛って楽しんだ。料理とよく調和して美しかった。功冶師と一緒でなかったのが、何としても残念だった。

食後、究師が中国福建省で手に入れた最高級の鉄観音で茶を楽しんだ。私流の点前で茶を点て、振る舞った。敬也師の茶杯で味わった。師は中国茶の本物を選ぶ実力を持つ。鉄観音の色、香りと味を真に感じた。2回、3回と点てる毎に微妙に変化する鉄観音は実に気品あるものだった。

鉄観音や烏龍茶は中国工夫茶の代表と言えるものだ。工夫茶は中国茶の歴史としては、緑茶に比すると大変新しいものだ。

ウーロン茶は、今や、我が国の殆どの人達が知るところとなった。烏龍茶は、本来、福建省の地方茶であった。台湾に渡った福建省の人達によって台湾でも生産されるようになった。その後、我が国のウーロン茶ブームによって各地に広まった。しかし、本来の烏龍茶や鉄観音とペットボトル性中国茶とは区別する必要を感じる。中国工夫茶の味としては気の毒だ。また、ボトル性茶は安定のため、ビタミンCの添加がなされているのだ。

知性と国際性を持った教養人の究師は、私の茶寄り合いに求められる人物だ。

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