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インターネット公開文化講座

文化講座

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家庭で楽しむ世界の料理~世界を食する~

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

韓国(大韓民国)の旅

みなさまは世界の料理をいくつご存知ですか?
今シリーズは、私が世界を旅して食した本場の料理をみなさまにお届けしています。
さぁ、ご一緒に世界のごはんを食べに行きましょう。

第7回は、韓国の旅です。
韓国の料理、食文化についてご紹介します。


1. 韓国(大韓民国)

面積: 約9万9,274km2(朝鮮半島全体の45%)
人口: 約4,725万人(2005年11月現在)
首都: ソウル
宗教: 仏教・キリスト教・その他儒教、
天道教
言語: 韓国語

韓国の伝統衣装・チマチョゴリを着て
お楽しみ


2. 韓国の食文化

~韓国食文化の特徴~
料理は一つの皿に盛られ、皆で箸でつつきながら食べます。取り皿は使わず、そのまま口に運んで食べます。
ごはんを主食とし、各種おかずを食べます。汁物を好んで食べます。
多様な方法で料理を食べます。(焼き物・煮物・炒め物・吸い物・漬物・・・)
醗酵食を好んで食べます。 (キムチ・塩辛・・・)
料理材料は、一口で食べられる大きさに切って調理します。
料理を出すときは、キムチをはじめサンチュ (韓国サラダ菜)・サラダ・ナムル(和え物)・・と
いろいろな料理をテーブルにおきます。
料理を注文すると出てくる小皿料理の数々。
基本的にお代わり自由ですべて無料のうれしいサービス

~韓国料理のマナー~
目上や年長の人と食事をする際には、その人が食べ始めるまで手をつけてはいけません。
食事はスッカラ(さじ)とチョッカラ(箸)を使って食べます。おもに使うのはスッカラで、ご飯も汁物もスッカラで食べます。チョッカラはキムチなどの小皿をつまむ際に用います。
食器はテーブルの上に置いたまま食べるのが基本です。スープなどの汁物は、器に口をつけて直接飲むのではなく、スッカラを使って飲みます。
スジョ
・スッカラ (さじ)
・チョッカラ(箸)

~韓国料理・おいしさの秘訣~
古来より伝わる5味(甘・辛・苦・酸・塩)と5色(白・赤・黒・黄・緑)を盛り込んでおり、5味の役割を果たすのが、「薬念」と呼ばれる調味料や野菜です。
「薬念(ヤンニョム)」
韓国では「薬食同源」という考え方に基づき、
「体によいもの(薬となるもの)を普段からおいしく料理して食べることで健康な体を作る」とされています。
例えば、キムチの味付けの元の調味料もヤンニョムで、キムチの種類(白菜キムチやカクテキ等)によってヤンニョムの調合は異なり、同じキムチであっても、作る人によってもヤンニョムの調合は異なります。
焼肉のタレの元になる調味料もヤンニョム。当然キムチとは、調味料の調合が、全然違います。
このように、料理によって無限に存在するヤンニョムですが、基本となる3つの調味料がベースになっています。「チョジャン」と呼ばれる酢醤油、「チョコチュジャン」と呼ばれる辛子酢味噌、「ケジャ」と呼ばれる酸味のある唐辛子調味料です。


3. 韓国といえば 「キムチ」

「これさえあればおかずはいらない」という韓国人もいるほどの「国民食」です。
しかし、その歴史は意外に浅く、唐辛子が九州経由で日本から韓国に伝わったのが西暦1,600年前後。豊臣秀吉が朝鮮侵略の際に持ち込んだとされています。そして18世紀末頃からキムチ作りに使われるようになりました。
それまでは「ムルキムチ(水キムチ) 」が主流で、山椒が辛味として使われていたのです。
「キムチ」= おもに(おかあさん)
キムチ作りの調味料のひとつである「唐辛子」市場でも大量に売られていました
  キムチ=お母さんの味と言われるほど、国民が大好きなものがキムチです。
11月に入ると、市場のあちらこちらにキムチの材料が売られ、町ではキムチを漬ける光景が多く見受けられます。
「キムジャン」= キムチ作り
種類も豊富です
  キムジャンは韓国の人にとって、1年のうちで重要な行事の一つとなっています。
かつては、「キムジャン休暇」「キムジャンボーナス」などを出す企業もあったほどです。

「キムチ」の味の決め手
野菜...自然の乳酸菌が付着していて、発酵がすすむと乳酸菌がほどよい酸味を生み出します。
魚貝や塩辛...漬け汁や具に使います。アミノ酸が含まれており、うまみを増します。
1~5℃の気温におき、ゆっくり発酵させるとおいしく漬かります。
 
 
市場に売られているキムチの材料「野菜や干し魚類」

「キムチ」のいろいろ
ペチュキムチ・・・白菜のキムチ
カットゥギ・・・角切り大根のキムチ
オイキムチ・・・きゅうりのキムチ
ポッサムキムチ・・・白菜包みキムチ
( 松の実・栗・大根・カキ・唐辛子などを白菜で包んで漬け込む豪華版キムチ。もとは宮中料理 )
パキムチ・・・わけぎのキムチ
ムルキムチ・・・水キムチ


4. 韓国宮廷料理

宮廷料理とはもともと李朝時代に王様が食べていた料理で、各地方から献上された最高の食材を使った料理です。
辛い料理が多い現在の韓国料理とは異なり、食材本来の味を生かした素朴な味で、彩りを考えて美しい盛り付けがしてあるのが特徴です。
韓国の慣用句に「机の脚が折れるほどの料理」という表現があります。これは、料理の品数が多ければ多いほど良いとされる韓国の風潮を表している言葉です。その言葉どおり、宮廷料理のフルコースでは、料理の数が30種類を超えるものもあります。

宮廷料理の一般的フルコース
(1)
前菜 おつまみ(くるみやドライフルーツ)
  九節板(クジョルパン)
(8種類の野菜をメインとした具をクレープ状に巻いて食べます)
(2)
おかず ナムルやチャプチェなど、色とりどりのおかずが小皿に分けられ数種類出されます。
(3)
お粥 韓国には様々な材料で作られたお粥があります。
代表的なものはアワビ粥・かぼちゃ粥などです。
(4)
メイン料理 魚や肉を材料とした料理が出されます。
カルビ焼きや海老・アワビの焼き物などです。
(5)
ご飯 一通りの料理が落ち着いたら、白米または五穀米が出されます。
サイドでわかめスープなどの汁物が一緒に出されます。
(6)
デザート 韓国の伝統茶と韓菓が出されます。
伝統の韓国宮廷料理を「荘園」(ソウル市内)でいただきました。
(平成3年当時)
テーブルいっぱいに並ぶ宮廷料理


5. 韓国の料理

「焼肉」
韓国に行ったら、まずは最初に味わいたい本場の焼肉。
牛肉だけではなく、豚肉や鶏肉も値段が安くて人気です。
焼いた肉は、サンチュなどの葉野菜を巻くか、薬味・コチュジャンをのせていただきます。

コチュジャン
韓国の代表的調味料。
近年では日本でも市販されるようになりました。

「ユッケ」
牛肉の刺身。新鮮な牛ロース肉を細かくしてたたき状にしたもの。
卵の黄身と肉の消化酵素を含むナシを組み合わせ、しっかりと混ぜて食べます。
生肉の割りにクセがなく、甘みがあって食べやすい料理です。

「ピョンヤンシッネンミョン(冷麺)」
平壌式と呼ばれるあっさりスープの冷麺。そば粉とジャガイモのでんぷんでつくった麺は半透明でコシがあります。
牛肉を煮込んで作った冷たいスープに、肉や野菜、ゆで卵などがのっています。
冷麺はとても長いので、ハサミで切って食べます。

「トルソッピビンパッ(石焼ビビンパッ)」
どっしりとした石釜(トルソ)で香ばしく焼き上げた韓国伝統料理。
ごはんの上に豆モヤシ・ききょう・ワラビなど20~30種類のナムルと牛肉をのせ、よく混ぜて食べます。器についたオコゲも香ばしく美味です。

元祖石焼ビビンパッの店
「全州中央会館」

「ヨンヤンパッ(栄養炊き込みご飯)」
もち米・黒米・白米などの米と、栗・ナツメ・銀杏・松の実・カボチャの種などを炊きあげる釜飯。
名前のとおり、滋養強壮効果があり、淡白な味付けです。

「クッパ」
クッパとは、ご飯が入ったスープという意味。
牛肉(骨付きカルビ)とニンニク・しょうがをじっくり煮て作ったスープをご飯の上にかけていただきます。

「パジョン(チヂミ)」
韓国風お好み焼き。
卵、小麦粉、水を混ぜ合わせ、シーフードや野菜と絡めて焼きます。
そのままでもおいしく食べられますが、しょうゆベースのタレを付けて食べることが多く見られます。宮廷料理のメニューにも含まれていることが多い1品です。
最近はお好み焼き粉が市販されていて、なかなか美味で手軽です。


6. 韓国料理を作りましょう!! (伊藤華づ枝のオリジナルレシピから)

ズンドウブチゲ(豆腐鍋)
 
材料 分量:4人分
豆腐(絹) 1丁(400g)
豚平切り肉 200g
貝アサリ 16粒
ごま油 大さじ1
にんにく(みじん切り) 1かけ
しょうが(せん切り) 5g
800ml
A 小さじ2/3
しょうゆ 大さじ2
コチュジャン 小さじ2
4コ
ねぎ 16センチ
粉唐辛子(粗引き) 多め

<作り方>
1 豆腐は1丁を16等分にします。
2 豚肉はザク切りにします。アサリはよく洗います。
3 熱した石焼鍋にごま油を入れ、にんにく、しょうがを香りよく炒めます。
4 (3)に(2)を入れて炒めます。
5 (4)に水を加え、アサリを入れます。
6 (5)を(A)で調味し、(1)を入れます。
7 (6)に卵を割りいれ、斜め切りにしたねぎを散らして火を止めます。
※お好みで粉唐辛子をふってお召し上がりください。

牛肉とねぎのチヂミ(韓国風お好み焼き)
材料 分量:4人分
牛平切り肉 200g
A しょうゆ 小さじ2
こしょう 少々
万能ネギ(細口) 1束(100g)
2コ
水(又はだし) 400ml
小麦粉 300g
B しょうゆ 小さじ1
小さじ1/3
和風だしの素 小さじ1
ごま油 適宜
糸唐辛子
(又は一味唐辛子)
少々
C ぽん酢しょうゆ 適宜
白ごま(いる) 適宜

<作り方>
1 牛肉は細かく切って(A)で下味をつけ、万能ネギは4~5センチ程のザク切りにします。
2 ボウルに卵をわりほぐして、分量の水を入れ、卵水を作った中に小麦粉を加えて混ぜ合わせ、(B)で調味します。
3 (2)に(1)を加えて混ぜ合わせます。
4 フライパンにごま油を熱し、(3)の1/4量を入れてうすく広げ、その上に糸唐辛子を散らして中火で約5分焼きます。
5 (4)をひっくり返して軽くおさえて焼き上げます。
6 (5)を食べやすい大きさに切って、好みで(C)のタレをつけて召し上がります。

三色ナムル(韓国風野菜の和え物)
材料 分量:4人分
ほうれん草 200g
  豆もやし 200g
少々
A 白ごま(する) 大さじ2
しょうゆ 大さじ2
ごま油 大さじ1~1・1/2
一味唐辛子 少々
にんにく(卸し) 1かけ
ぜんまい(水煮) 150g
ごま油 小さじ1
B しょうゆ 大さじ2~3
コチュジャン 大さじ1/2
にんにく(卸し) 少々
100ml
白ごま(する) 少々

<作り方>
1 ほうれん草は色よくゆで、4~5センチ長さに切ります。
2 豆もやしはひげ根を切り落とし、塩を入れた熱湯の中に入れて蓋をかけ、10分間程ゆでて豆が柔らかくなったらザルに上げ、手早く冷まします。
3 (A)をよく混ぜ合わせて(1)と(2)をそれぞれ和えます。
4 ぜんまいは硬いところを切り落とし、熱湯でサッとゆでます。
5 (4)をごま油で炒め(B)を加え、落とし蓋をして弱火で煮含めた後、白ごまをふります。
6 三種の野菜を盛り合わせます。
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