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インターネット公開文化講座

文化講座

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エプロン一年生さんの為の基本クッキング

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

知っておきたい基本の切り方 ~野菜と果物~

これから料理を学びたい人・お料理大好きな人へ
このページでは、料理の基本やその逸話などを、料理法だけでなくいろいろな角度からご紹介します。

料理教室で「魚をおろしてください」と声をかけたら、おろし金を準備する人や「大根を千六本に切ります」と言ったら、「え?!数えるの?」とこちらがビッ クリするような声が返ってくることがあります。料理本に「さいの目切りにします」と書いてあるのを読んで、「サイ(動物)の目?!」と不思議がる人もいる と聞きました。「サイ(動物)」ではなく「サイコロ」の形を表す「さいの目」です。このように切り方の名称にも理由があるので、由来を理解して切り方を覚 えればより料理上手になれるでしょう。



~せん切り~

いろいろな料理に登場するせん切りは、材料を5~6センチの長さのうす切りにし、端から細く切る方法です(写真1参照)。

豆知識
白髪ねぎ:「白髪(しらが)」と言うのは、ねぎや大根など白い野菜を細長く切ったものをいいます。「白髪ねぎ」という種類のねぎが売っているわけではありません、念のため。右の写真2をご参照ください。ねぎの中の芯をとって白い部分のみ細長く切ります。
(写真1)せん切り
(写真2)白髪ねぎ

~千六本切り~

「千六本」と聞くと、かなりの数だからすごく細く切らないといけないような気がしますが、千切りより太く、マッチ棒くらいの太さのことをいいます。
中国では、大根のことを「ろうふ」といい、せん切りを「織」といいます。この繊(せん)と、ろうふ(大根)が、なまって「千六本」となったのです。(写真3参照)
(写真3)千六本切り

~さいの目切り~

文頭で記述した通り、サイコロの目のような形で1センチ角位の大きさに切る方法です(写真4)

あられ切り:8ミリほどのサイコロ状に切る
かのこ切り:5ミリほどのサイコロ状に切る
(写真4)左上より時計回りにさいの目切り、あられ切り、かのこ切り、みじん切り

~輪切り(小口切り)~

きゅうりやネギやナスなどの細長い材料を、端から厚さを揃えて切る方法です。料理によって切り方の厚さを変えます。
例えば、きゅうりの酢もみに使用するきゅうりは、薄く切ります。
ラタトゥユ(夏野菜のトマト煮)のような煮込み料理などに入れるなすやズッキーニは、1センチ程の厚さの輪切りにします(写真5・6参照)

※ 半月切り
輪切りにしたものを縦半分に切り、半月のような形に切ったものです。
(写真5参照:左から二番目)
※ イチョウ切り
半月切りにしたものを、更に半分に切った形のものです。輪切りの4分の1です。
(写真5参照:右)
(写真5)左から輪切り、半月切り、イチョウ切り
(写真6)ねぎの小口切り

~乱切り~

にんじんやごぼうなどを回しながら、切り口の面を変えて切っていく方法です。このことから回し切りとも言われます(写真7参照)。形は違っていても、大き さをなるべく揃えれば火の通りは均一になります。
乱切りをすることによって、切り口の面が多くなって味がしみやすくなります。
煮物などに使われる切り方です。
(写真7)乱切り

~くし形~

トマトやジャガイモなどの球状のものを、中心より6~8等分の放射状に切り分ける切り方です(写真8)。揚げ物に添えてあるレモンはくし型に切ってあるこ とが多いのですが、これは絞りやすいようにという意味あいがあります。
(写真8)くし形

~ささがき~

笹の葉のような形に似ていることから、「ささがき」と言われているのです。「ささがき」と言えばごぼうですね。ごぼうの場合は、縦に4~5本切り目を入 れ、鉛筆を削るようにごぼうをまわしながら包丁の刃先で薄くそぎ切りします(写真9)。しかし、近頃このささがきができない人が多いのです。うまくできな い人は、包丁の代わりに皮むき器を使用しても、きれいにささがきができます。
ごぼうは切った切り口が空気に触れることによって変色するので、すぐに酢水につけると変色が抑えられます。
(写真9)ささがき

~短冊切り~

七夕の時の短冊のように、縦長の長方形に切ります(写真10参照)。
(写真10)短冊切り

~拍子木切り~

拍子木のように切る方法です(写真11参照)。(拍子木とは、お祭りの時に木製の細長い棒のようなものが二つ紐でつながっているもの。叩くとカチカチ音が鳴るものです)
(写真11)拍子木切り

~蛇腹切り~

主にきゅうりに用います。太さの半分までを(切り落とさないように)端から薄く斜めに切り目をいれます。裏返して同じように切ります。自身のない人は、割 りばしをまな板の上に置いて下まで切り落とさないようにすると上手にできます。塩でしんなりさせて、酢の物などにします。(写真12参照)
(写真12)蛇腹切り

~かつらむき~

だいこんでよく行う切り方です。材料の側面から帯状に薄く切っていくことです。(写真13参照)
かつらむきにしたものを細く切ることで、つやのある細いせん切りとなり、これを刺身のつまに用います。
(写真13)かつらむき

~フルーツの飾り切り~

普段皮をむいてそのまま食べているフルーツも、少し切り方を工夫すると、おしゃれな一品となり食卓を華やかにしてくれます。美しく飾り切りして、来客など の折に準備してみてはいかがでしょうか。

※グレープフルーツ

飾り切り(花かご:写真14参照)

グレープフルーツの上部1/3~1/4を切り落とします。
皿の上で転がらないように、下部も薄く平らに切り落とします。
かごの柄を作ります。5~7ミリの幅で真中まで切込みを入れます。反対方向からも同じように、切り離さないように切込みを入れます。両側から持ち上げリボンで結びます。
レモンでもできます。
写真14はミニトマト、にんじん、パセリで飾りつけしました。
(写真14)グレープフルーツの飾り切り

※アボカド

種の取り方

種に当たるまで縦に包丁を入れ、周囲に切り込みを入れます。
手でねじって片方を離します。
ナイフの手元に近いところで種に刺してねじると種が取れます(写真15参照)。
(写真15)アボカドの種の取り方

※マンゴー

飾り切り

マンゴーを横にして種に当たらないように横に包丁を入れ、種に沿って切り離します。(3枚卸しとも言います)
格子状に切れ目を入れ、そり返します(写真16参照)
見た目もきれいですし、食べやすい形です。
(写真16)マンゴーの飾り切り

※バナナ

飾り切り

一面だけ皮をむいてその皮を丸めて、ピックを刺すだけでいつもとは一味違ったかわいらしい雰囲気になります。(写真17参照)
(写真17)バナナの飾り切り

★様々な切り方を使った料理のご紹介★

せん切りを利用した料理~じゃがいものぺペロンチーノ~

(写真18)じゃがいものぺペロンチーノ

じゃがいものぺペロンチーノ

<作り方>

じゃがいもの皮をむき、薄く切ってせん切りにします。水によく晒し、水気をとります。
フライパンにオリーブ油とにんにくを香りが出るまで炒めます。
②へ①を入れよく炒め、多めに塩をふり、こしょうと赤唐辛子を加え味をととのえます。

トマトの飾り切りをした料理~いろどりチャーハン~

(写真19)いろどりチャーハン
バラをイメージしたトマトの飾り切り

抜き型を使ってもみじ形を楽しむ~れんこん団子~

(写真20)れんこん団子
(写真21)もみじの型

れんこん団子

<作り方>

れんこんは皮をむいて水に晒した後、おろし金ですり卸します。
①の水気を切り、かたくり粉、小麦粉、塩、鶏ひき肉、黒ごまを加えてよく混ぜます。俵型に形をととのえ、油で揚げます。
もみじ型でぬいたピーマンを飾ります(写真21参照)

ささがきごぼうの料理~肉ごぼうご飯~

(写真22)肉ごぼうご飯

肉ごぼうご飯

<作り方>

豚ロース肉は1センチ幅に切り、しょうゆと酒で下味をつけておきます。
ごぼうはささがきにし、水にさらしてアクをぬき、水気をきります。
米を洗って水加減し、炊く直前にしょうゆ、酒、①と②を入れて、炊き上げます。

ピーラー(皮むき器)を使ってくるくるきゅうりの飾り物~手作り焼豚の添えに~

(写真23)ピーラーを使ってきゅうりを薄切り
薄切りにしたきゅうりを氷水に放すとくるくると自然にカールがつきます。サラダにも利用できます
(写真24)手作り焼豚
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