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マナー美人になろう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

中国料理のいただき方のマナー ②

テーブルマナーとは、決して難しいことではありません。
周りの人や共にお食事する人に迷惑や不快感を与えることなく、楽しい食事時間をすごし、親交を深めるための「思いやり」と言ってもよいでしょう。
マナーを身につけることによって、自信を持ち、美しい姿で食事をすすめることができます。
さぁ、ご一緒に、マナー美人を目指しましょう。

これまで、西洋料理のマナー、日本料理のマナーについて紹介してきました。
第8回目の今回は、前回に引き続き、中国料理のマナーについてご紹介します。
中国では食卓イコール重要な社交の場と考えられています。一つの食卓を囲んで家族・友人・ビジネスでのお相手などさまざまな知り合いと、大皿に色とりどり に盛り付けられた料理を分かち合い、そしてお互いに暖かい信頼関係を築くことが、中国料理を楽しむ最大の目的といえるでしょう。
このような特徴を持った中国料理ですから、和やかな雰囲気の中で楽しく食事をすることが重要です。フランス料理や和食に比べて、厳密なルールがありませ ん。目上の人を敬い、食事を楽しむこと・・これが中国料理をいただくときの最大のマナーです。




【1】テーブルの食器
中国料理の食卓は、一般的に右の写真の通りです。
ターンテーブルには、からし、酢、しょうゆなどの調味料が用意され、各々のテーブルには取り皿、箸、ちりれんげ、テーブルナプキンなどが準備されています。
中国料理では、取り箸を添えず、自分の箸で大皿のものを分け合って食べることが親愛の情を表すマナーでした。しかし最近では、取り箸やフォーク、スプーン等が準備されることが多くみられます。

はし・・・木、銀、象牙などの角箸が用いられます。頭と先端の太さが同じぐらいで、取り箸も兼ねているので日本のものより長めです。(約25センチ)
ちりれんげ・・・湯(スープ)を飲むときに使います。汁の中身は箸でいただきます。
取り皿・・・料理を大皿から自分の分だけ取り分けます。以前は取り皿として大皿1枚しか用意されず味が混ざらないように取り分けていましたが、今では料理ごとに取り替えてくれます。

1.テーブルの食器
前回も述べましたように、中国料理は、冷箪(前菜)→スープ→大菜・大件(メイン料理)→ご飯・麺類→点心・デザートの順で供されます。
【冷箪】
日本料理では前菜・御通し(通し物)、西洋料理ではオードブルにあたります。数種類のものが色とりどりに盛り付けられており、1、2片ずつ、2~3種類皿にとっていただきます。前菜は料理がなくなるまで食卓に出ているのが一般的ですので、いつ食べても構いません。
【スープ】
スープ類をいただくとき、一般的には器に口をつけるのはNGとされています。しかし、あまりに見苦しい姿勢でなければ許されることがほとんどです。背中を丸め て前かがみになってスープをいただくのは美しくありませんね。スープが熱いうちに、レンゲを使ってしっかり口まで運ぶようにします。このとき、音を立てな いようにしましょう。
【大件】
メイン料理のこと。大盆・大菜ともよばれ、宴席の主役となる料理です。
肉、魚、野菜を使い、炒め物、揚げ物、蒸し物等、調理方法もさまざまです。
以下に主な中華のメイン料理のいただきかたを説明します。
・魚のから揚げ
魚 のから揚げに甘酢あんや、薬味をのせたものです。魚をまるごと揚げたものもあります。この場合、通常レストランのスタッフが取り分けてくれますが、自分で 取り分ける場合は人数に応じて切れ目が入っているので、スプーンで割れ目を深く刺すように分けてとるようにします。頭に近い部分は主賓に差し上げるのがマ ナーです。
・えびの炒め物
≪殻つきのエビのいただきかた≫
前もって背中に隠し包丁が入れてあるので、箸でエビを押さえて手で殻をはずします。殻は皿の隅に寄せて身をいただきますが、殻の部分にもうま味があります ので、殻ごと口にして口の中で殻と身に分け、殻だけ箸で取り出しても構いません。
尾だけがついている場合も、上品にはずしていただきます。
【デザート類】
デザートにはアンズやライチを使ったものが多くみられます。
杏仁豆腐、ライチプリン、マンゴープリンがその代表例。フルーツと一緒に盛り合わせてあることも多く、油っこい料理の後にツルツルと口ざわりがよく、口の 中をさっぱりさせ、すがすがしく爽やかな味を残すという意味合いがあります。
【鮮菓】
デザートの後に、果物が出されることがあります。果物のことを、中国では「菓子」といいますが、いわゆるお菓子ではありません。一緒に出されたフォークや、手を使って上品にいただきましょう。

2.中国の酒のいろいろ
【中国酒とは】
中国酒は料理と共に飲まれるだけでなく、調理にも使われ、その香りと味で一段と料理を引き立てます。
また「百薬の長」として様々な病気の治療に用いる薬酒も有ります。
また、中国酒だけでなく果酒(ワイン)や卑酒(ビール)なども飲まれます。
紹興酒(シャオシンチュウ)
 
もち米を原料にして作った醸造酒で、中国浙江省の紹興という土地でできるところからこの名前がついています。
年月を経たものほどおいしく、珍重され、日本酒のように燗をしたり、写真のようにオンザロックで楽しみます。
茅台酒(マオタイチュウ)
  小麦とコーリャン(中国で栽培されるモロコシの一種)から作る蒸留酒で、貴州省の酒です。
無色透明でアルコール度は高いのですが、香りも口当たりもよく悪酔いをしないのが特徴です。中国では公式宴会に必ず飲まれます。
高梁酒(カオリァンチュウ)
  白酒(パイチュウ)ともいわれ、河北省天津などで作られるコーリャンを原料にした蒸留酒です。寒さの厳しい地方のお酒だけにアルコール分も高く、濃厚な味わいが有ります。
竹葉青酒(チュイエチンチュウ)
  蒸留酒に二十余種の漢方薬材を加えたリキュールです。山西省の銘酒で、淡青色をした甘口の芳純な味わいのお酒です。

★★★★★中国茶について★★★★★
アルコールを飲めない人のためだけでなく、口の中や胃壁についた油分を除去することから、お茶を飲むことをお勧めします。最近ではウーロン茶、ジャスミン茶だけでなく、いろいろな中国茶が飲まれるようになりました。
◎中国茶器のご紹介
茶壷&茶船(チャフー&チャーチュアン)
茶壷とは急須のこと。茶船は茶壷を温めたり、湯をこぼしたりするときに使います。
聞香杯(モンコウハイ・右側の縦長のもの)
茶の香りを楽しむために用いられます。
上から順に、茶則・茶通/茶杓・茶挟(チェザー・チャートン/チャーシャオ・チャージュ)
茶則・・・茶葉を茶缶から取り出す時に用います。
茶通/茶杓・・・茶通(左側)の部分は茶壷の注ぎ口に茶葉が詰まった時に、茶杓(右側)の部分は茶葉を移したり、アクを取り除くときに使います。
茶挟・・・茶船から杯を取り出したり、茶壷の中の茶葉を整えるときに用います。

中国茶器のご紹介
緑茶・・・中国で一番飲まれているお茶です。しかし日本の緑茶とは、少し製法が異なります。発酵させないお茶で、これに花の香りをつけたものが花茶と呼ばれるもの。ジャスミン茶やもくれん茶があります。
青茶・・・発酵の度合いが30~70%のもの。紅茶の色と香りに緑茶の甘みを持っています。鉄観音、ウーロン茶、水仙茶などがあります。
紅茶・・・完全発酵のお茶。ヨーロッパに広まった紅茶のルーツはここから。
黒茶・・・後発酵のお茶。乾燥される前の緑茶に加熱加湿し、麹菌を加えて発酵させたもの。辺境の地に輸送しやすいように茶葉を押し固めて作るお茶。
代表的なものにプーアル茶(写真)があり、点心(シューマイ、ギョーザなど)との相性が特にすぐれています。
白茶・・・炒ったり揉んだりせずに、茶葉の原形のまま、うぶ毛を残したぜいたくなお茶。熟れる前の果実のような香りが特徴。白銀針が有名な逸品。
黄茶・・・緑茶を作る過程で、そのまま茶葉を積み重ねて発酵させる後発酵のお茶です。


【写真撮影協力店】
ホテルオークラレストラン「桃花林」
右が鈴村料理長
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