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インターネット公開文化講座

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マナー美人になろう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

世界各国料理と食事マナー

テーブルマナーとは、決して難しいことではありません。
周りの人や共にお食事する人に迷惑や不快感を与えることなく、楽しい食事時間をすごし、親交を深めるための「思いやり」と言ってもよいでしょう。
マナーを身につけることによって、自信を持ち、美しい姿で食事をすすめることができます。
さぁ、ご一緒に、マナー美人を目指しましょう。

これまで、西洋料理のいただき方やマナー、日本料理のマナー、中国料理のマナー、ホームパーティーの開き方と招く側&招かれる側のマナー、イタリア料理の マナーなどについてそれぞれ紹介してきました。最終回は、最近ブームとなっているアジア料理や、これまでご紹介できなかったその他の国の代表料理とそのマ ナーについて記します。




(写真)フォー
(ベトナム版うどん)
(写真)バインセオ
(ベトナム版お好み焼)
(写真)ホビロン
(アヒルの孵化する直前の卵)
(写真)生春巻き
*ベトナム料理編

ベトナムの代表料理にフォー、バインセオ、生春巻きなどがあります。
これらの料理にはどれも共通する食材があります。それはハーブで、暑い国・ベトナムには欠かせない食材です。ハーブには体に清涼感を与える働きと、暑い気 候で発生しやすくなる食中毒を抑制します。すべての料理にハーブをちぎりながらたっぷりのせて食べるのがルールです。

<フォー>(ベトナム版うどん)
フォーにはたっぷりのハーブや油条(ユーチャオ:油で揚げたパン)を入れて食べます。 日本のうどんに似ていますが、麺の素材が異なります。うどんは小麦粉から作られますが、ベトナムのフォーは米粉から作られています。

<バインセオ>(ベトナム版お好み焼き)
一口分ずつサラダ菜やハーブに包んで食べます。 聞きなれない人も多いかと思いますが、バインセオとは日本のお好み焼のようなものです。トウモロコシの粉を水で溶いたものを生地にした、パリッとした皮の 中に海老、肉、もやしなどが入ったもので、日本のお好み焼きとは、ひと味違います。

<ホビロン>(右写真)
ホビロンとはアヒルの孵化する直前の卵をゆでたものです。卵の上部に穴をあけ、香草や塩をつけてスプーンですくって食べます。これには、とても栄養素が豊 富に含まれています。見ただけでちょっと...となる人もいますが意外に美味ですよ。

<ゴイクン>(生春巻き)
チリソースやゴマペーストなどのタレにつけて食べます。
ベトナムではとても一般的な料理で、家庭でも食べますが、屋台などでも食べられます。薄い皮の中には、レタス、エビ、春雨、パクチー(香草)などが入って います。この春巻きの皮も米の粉からできていて、「ライスペーパー」と呼ばれています。
(写真)ドリアン(果物の王様)
フルーツ王国アジア

ドリアン...フルーツの王様です。匂いがきつくて避けている人もいるかと思いますが、食べるととてもコクのある味で一度食べるとやみつきになります。アジア の高級ホテルではドリアンは持ち込み禁止です。持ち込んで食べると匂いがとても強く、異臭騒ぎとなるので要注意です。
(写真)石焼ビビンパ
*韓国料理編

日本料理の食べ方と全く異なる点は、お皿は持ち上げず、テーブルの上に置いたまま食べるというのが韓国マナー。 チョッカラ(箸)、スッカラ(さじ)両方あわせてスジョと呼びますが、主に使うのはスッカラ(さじ)で、チョッカラ(箸)はおかずをつまむときだけ使います。代表的な料理にビビンパ、サムゲタン、冷麺などがあります。

<ビビンパ>
韓国の混ぜご飯で、熱いうちに全体が同じ色になるまで混ぜます。石焼きなら、スッカラでおこげをはがして食べます。いっしょに出されるスープを入れて食べると一味違った味も楽しめます。

<サムゲタン>(薬用スープ)
鶏の腹にもち米、にんにく、朝鮮にんじんを詰めて煮込んだ滋養強壮作用のあるスープで、テーブルごとに好みで塩、こしょうで味を調節して食べます。鶏はス ジョ(箸とスプーン)でよくほぐして、具と混ぜながら食べ、食べられない骨などはテーブルに用意されたつぼへ入れて下さい。

<冷麺>(そば粉で作られた韓国風の冷たいラーメン)
酸味がきいた歯ごたえのある冷たい麺で、お店の人に長い麺をはさみで切ってもらい、辛子や、酢を入れてスープといっしょに食べます。

(写真)パエリア
*スペイン料理編

スペインの代表的な料理と言えばパエリアでしょう。しかし、食べ方を知っている人は意外に少ないと思いますので、ご紹介しましょう。 出されたパエリア鍋からスプーンで直接食べます。自分に一番近い場所から三角形に食べるものだと言われているようですよ。 パエリアのコンクールもあるほどスペインでは欠かせない料理です。

(写真)アフターヌーンティー
*イギリス料理編

アフタヌーンティーとは、イギリスで19世紀に始まった夕方のお茶の習慣です。午後3時から午後5時頃の夕食前の間に楽しみます。伝統的なアフタヌーン ティーは食べきれないほどのお菓子を用意するのがマナーとされていて、お菓子はすべて小さなサイズで焼き菓子やスコーン、ひと口サイズのフィンガーサンド ウィッチなどが用意されています。
三段のかごで出された場合、一番下の段から順に食べ、基本的には手でつまんで食べるものとされています。
(写真)アフターヌーンティー
*ロシア編

ロシアの代表的な料理、ピロシキとボルシチの食べ方です。

・ピロシキ(ロシアパン)
一口ずつ手でちぎって食べます。
日本で言うピロシキは、ひき肉と野菜などの炒めたものが入った揚げパンですが、本場ロシアのピロシキは揚げずに焼いただけのものもあります。焼いたものと 揚げたものの違いは、食べられている地域によって違うのです。ロシアでも暖かい地域のモスクワでは焼いたピロシキが多く、北のほうの寒い地域になると揚げ たピロシキが多いのです。揚げることによって脂肪が摂取できます。日本人にとっては驚く話ですが、寒い地域の人にとっては、油を摂取することによって脂肪 を蓄え寒さを体内から逃がさないようにするのです。 これと同様にロシアでは、キエフ風カツレツという骨付きの鶏胸肉にバターを包み込んで揚げた料理も、代表的な料理です。

・ボルシチ(ビーツのスープ)
スメタナ(サワークリーム)をスプーンで溶かしながらよく混ぜて食べます。
うっそうとしたという意味を持つボルシチは、日本のみそ汁と同じように家庭で作られ親しまれています。肉や野菜を煮込んだ具だくさんのスープです。具は特 に決まっていないのですが、必ず入れる食材があります。それは、「ビーツ」(=サトウダイコン)という野菜で、ボルシチの美しい赤色を出すには、必須の食 材です。もう一つ最後の仕上げに入れる「スメタナ」という牛乳から作られたサワークリームも欠かせません。

上記のようにそれぞれの国の風土にあった料理が、考えられ伝えられているのです。現代の日本では、世界各国の料理が様々な場所で食べられるようになりまし た。それぞれの国の歴史や風土の上に成り立った料理ですから、その心を大切に尊重しつつ、いただきたいものです。
(写真)ピザ
ちょっとアドバイス

こんな料理はどうするの??
ピザ、ハンバーガーなど、食べ方のマナーというより、どのように食べたらきれいに食べられるのかをご紹介しましょう。

<ピザ>
友達同士などカジュアルな場では、ヘリを丸める感じで手で持って食べてもOKです。具が多いときやあらたまった席では、ナイフとフォークを使ったほうがスマートでしょう

<ハンバーガー>
あの分厚いハンバーガーをガブッと食べるところを見られたら、女性は少し恥ずかしいですね。でも、食べたい!!という人に・・・
ハンバーガーを手のひらでギュッと押さえ厚みを減らして食べたり、上下を分けて食べても食べやすいです。ナイフを使用して半分に切って食べても食べやすいかと思います。

*どんな料理をいただく時でも忘れてはいけないマナー
食事をいただく時は「いただきます」、食べ終わったら「ごちそうさま」を言うことでしょう。食べ物は多くの人、自然の恵み、その料理を作った人など様々な 過程をへて私たちの前へ出されるものですから、感謝の気持ちを忘れずいただきたいものです。そして、思いやりと親睦の心を持って、楽しくいただいて下さ い。

美しいマナーと美しい心を持って日々を豊かに暮らしてください。

12回の食事マナーのお話をご愛読頂き、ありがとうございました。
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