愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

季節の保存食を作りましょう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第7回 魚のかす漬け・クルミゆべし

前シリーズでは「愛する人に作りたいスイーツレシピ」と題し、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「心にゆとり」を生み出す、本物の味・最新の保存食レシピをご紹介しています。
旬の食材は味も栄養価も充実している・値段が安いなどの長所がいっぱい!!
毎月2つずつテーマ食材を決め、レシピや栄養価についてご紹介しております。

第7回目の今月は、「魚のかす漬け」と「クルミゆべし」です。

1.魚のかす漬け

かす漬けは、酒かすまたはみりんかすに食材を漬けたものです。
漬ける食材は魚以外にも野菜や肉、貝類など多種多様です。

新酒が出回る12月以降は、出来立ての生の酒かすが手に入ります。
生粕(きかす)が販売されていない場合は、板状の酒かすを日本酒やみりん、水などに溶かしてから食材を漬けます。

有名な「魚のかす漬け販売店」は、最高級のみりんかすを使用しているので、みりん独特の甘味と濃厚な味わいが楽しめます。

有名店の魚のかす漬け


酒かすは、日本酒を作る際に一緒に出来るかすです。
日本酒は、蒸した米と米こうじを仕込んで発酵したもろみを圧搾して作られるため、残ったかす(固形物)には米の栄養分が豊富に含まれています。

みりんのもろみから取れるみりんかす(こぼれ梅)は、材料にもち米を含むので甘味があります。


愛知県常滑市の老舗みりんメーカーの工場を訪れた際の筆者

みりんのもろみを圧搾する機械

出来上がったみりんかす


魚のかす漬け~酒かすを使用したレシピ~

※大人の味わいが楽しめます

材料 作りやすい分量(4人分)
酒かす 120g
 
A  
日本酒 大さじ3
みりん 小さじ2
大さじ2
 
マナガツオ(又は真鯛)(1切れ100~130g位) 4切れ
小さじ1
信州みそ 60g

作り方

  1. 酒かすを手でちぎり、ボウルに入れて(A)を加えます。ぴっちりとラップをし、1晩ふやかします。
  2. お好みの魚に塩を振り、30分間程置いてからキッチンペーパーで軽く水気を取ります。
  3. 1.にみそを入れ、泡立て器で混ぜ合わせます。
  4. 3.を4等分し、ラップにゴムベラで薄く広げます。その上に2.の魚を置き、まんべんなく魚にかす床が付くように包みます。4切れとも同じようにします。
  5. 4.を密閉容器に入れて冷蔵庫に入れ、1晩おきます。
  6. 5.のかす床を少し取り、魚焼きグリルで焼き目が付くまで焼き(5分間程)、アルミホイルをかぶせて魚の中心まで火が通るまで焼きます(2分間程)。

※写真には南天と赤かぶの漬物を添えました。

魚のかす漬け~みりんかすを使用したレシピ~

※みりんの甘味でお子さんも召し上がれます

材料 作りやすい分量(4人分)
サワラ(又は白身魚) 4切れ
小さじ1
 
A  
みりんかす 300g
みりん 100ml
西京みそ 100g

作り方

  1. 魚に塩を振って身を引き締め、30分間程置いてからキッチンペーパーで軽く水気を取ります。
  2. ボウルに(A)を入れ、泡立て器で混ぜ合わせます。
  3. 2.を4等分にしてラップにゴムベラで薄く広げ、その上に1.の魚を置き、まんべんなく魚にかす床が付くように包みます。4切れとも同様にします。
  4. 3.を密閉容器に入れて冷蔵庫に入れ、1晩~3日間置きます。
  5. 4.のかす床を少し取り、魚焼きグリルで8分間程焼きます。

※魚にかす床をつけて1晩置いたものを冷凍すると、長期保存出来ます。

2.クルミゆべし

柚餅子(ゆべし)は、柚子又はクルミを使った加工食品又は和菓子の一種です。
元々は保存食や携帯食として食べられていましたが、現在は主に柚子を使った珍味のゆべしと、クルミを使った和菓子のゆべしに分けられています。

柚子を使ったゆべし

柚子の中身をくり抜き、みそやクルミ、ごまなどを詰めて蒸し、1ヵ月から半年ほど自然乾燥させます。
薄く切って酒の肴やご飯のお供にして食べます。

石川県輪島のゆべし専門店前での筆者


今回は電子レンジで簡単に作る、「クルミゆべし」をご紹介します。
全国各地には棒状のもの、四角いもの、小判形など様々な形や味のゆべしがあります。
クルミゆべしは砂糖や黒砂糖の甘味に、みそやしょうゆで味つけするのが特徴の和菓子です。

クルミは古来より、強壮薬として用いられてきました。
植物性脂肪であるリノール酸が、エネルギー代謝を正常にする働きがあります。
食物繊維やミネラルも豊富に含むので、腸内環境を整え、美肌効果や疲労回復に役立ちます。
渋皮つきで食べると更に効果を増すとされているので、今回のレシピのように素焼きしたクルミを使用すると良いでしょう。

黒砂糖は、さとうきびのしぼり汁を加熱し、濃縮したものなので、砂糖の中でも健康に良いとされています。
骨や歯を作るカルシウムや鉄分などを豊富に含むので、黒砂糖のお菓子はおやつタイムにぴったりでしょう。

クルミゆべし

※電子レンジで簡単なのに、本格的な味に仕上がります

材料 作りやすい分量
15.5cm×14cm×4.5cmの型1コ分
A
200ml
黒砂糖(塊・刻む) 90g
砂糖 30g
赤みそ 10g(約大さじ1/2)
 
白玉粉 1袋(150g)
素焼きクルミ 60g
片栗粉 大さじ3

作り方

  1. 鍋に(A)を入れ、シロップを作ります。砂糖とみそが溶け、シロップができたらザルで漉して粗熱を取ります。
  2. 耐熱ボウルに白玉粉を入れ、1.のシロップ250ml(足りない場合は水を足します)を少しずつ加えながら、手で塊をほぐすように混ぜます。
  3. 2.にふんわりとラップをかけ、500wの電子レンジで2分間かけます。木ベラでよく混ぜて再度500wで2分間かけ、さらにしっかりと練ります。
  4. 3.に手で軽く割ったクルミを混ぜ、もう一度500wの電子レンジで2分間かけます。透明感が出て、しっかりと粘りが出ていることを目安として混ぜます。
  5. 流し缶又は密閉容器などにワックスペーパーを敷き、片栗粉(半量)を振って4.を流します。その上に残りの片栗粉を振り、ワックスペーパーをかぶせて型に生地をのばします(生地が熱いので素手で触らないように注意します)。
  6. 冷えて形がしっかりしたら、型からはずして9等分に切ります。
季節の保存食を作りましょう
このページの一番上へ