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インターネット公開文化講座

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季節の保存食を作りましょう

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第3回 栗の渋皮煮・オイルサーディン

前シリーズでは「愛する人に作りたいスイーツレシピ」と題し、お菓子の歴史やその名前の由来、誕生秘話などを取り入れながら、家庭で作りやすいスイーツレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「心にゆとり」を生み出す、本物の味・最新の保存食レシピをご紹介しています。
旬の食材は味も栄養価も充実している・値段が安いなどの長所がいっぱい!!
毎月2つずつテーマ食材を決め、レシピや栄養価についてお知らせして参ります。

第3回目の今月は、栗の渋皮煮とオイルサーディンです。

1.栗の渋皮煮

秋の味覚を代表する"栗"を使った、風雅な保存食をご紹介します。
栗の鬼皮だけを剥き、渋皮をつけたままの状態で砂糖で煮たものが渋皮煮です。
そのまま食べても、ロールケーキやモンブランなどのケーキに活用しても渋皮の風味が生きて美味しい、私の自慢のレシピです。

伊藤華づ枝作 栗の渋皮煮

自家製栗の渋皮煮を使ったマロンロールケーキ


渋皮煮には、日本でとれる「日本栗」が使用され、マロングラッセなどに使われる「ヨーロッパ栗」とは別物です。
栗は生のままでは長期保存がきかないため、「渋皮煮」は栗が旬を迎える9~10月頃に作りましょう。
私のレシピはすぐに美味しく食べられるように、甘さを控えめにし、ほのかにブランデーで香りをつけています。
長期保存をしたい場合は、砂糖の量を増やして時々煮返すと良いでしょう。

栗はビタミンCを多く含んでいますが、このビタミンCはでんぷん質に包まれているため、熱にも強いのが特徴です。
ビタミンCは強い抗酸化作用があり、疲労回復や美肌効果に役立ちます。
渋皮にはポリフェノールの一種であるタンニンを含むため、抗菌・抗酸化作用があります。

栗の渋皮煮

※中弱火で煮て、急激に温度変化をさせないことが、煮崩れしにくい秘訣

材料 作りやすい分量
出来上がり約50粒分(栗1kg分)
1kg(約50粒分・皮をむいて900g)
適宜
竹皮 2枚
重曹 大さじ2
グラニュー糖 600g
 
A  
1000ml
グラニュー糖 800g
 
ブランデー(又はお好みの洋酒) 大さじ4

作り方

  1. 栗は1時間程水に浸け(鬼皮をむきやすくするため)、渋皮を傷つけないように鬼皮をむきます(写真a)。むいたものは水に浸けます(写真b)。
  2. 鍋に竹皮を敷き(写真c)、1.と重曹大さじ1を入れ、栗がかぶる位の水を入れて中火にかけます。沸騰したら中弱火にし、10分間程茹でます(写真d)。
  3. その後、火から下ろして栗に当たらないように鍋の中に水を少しずつ流しながらゆっくりと冷まします。
  4. もう一度2.~3.を繰り返し、栗の渋皮と筋取りをします(指の腹、竹串を使って優しく取ります。渋が付いていても苦くないので無理に取らないこと・写真e)。
  5. 再度、鍋に栗とかぶる位の水を入れて沸騰してから中弱火で10分間茹でこぼして重曹を抜きます。もう一度3.の作業を繰り返します。
  6. 鍋に栗とかぶる位の水、グラニュー糖(半量)を入れて中火にかけます。沸騰したら弱火で10分間程煮ます(途中、数回に分けて残りのグラニュー糖を加えながら煮ます)。そのままそっと冷まします。
  7. 別鍋に(A)でシロップを作り、冷えたらブランデーを入れます。
  8. 栗と7.のシロップをビンに入れて冷蔵庫で保存します。

栗は、皮にツヤとハリがあり、重みのあるものが新鮮です。
生の栗は虫がつきやすいので、すぐに調理する又は、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保管すると良いでしょう。

2.オイルサーディン

オイルサーディンはイワシの加工品の一種で、「イワシの油漬け」のことです。
サーディンは「イワシ属の魚」のことを指し、新鮮な10cm前後のイワシの頭や内臓を取り除き、塩水につけて油で煮た保存食です。
そのまま食べても、サラダやパスタなどに入れて食べても良いでしょう。

同じくイワシを使った保存食としては、"アンチョビ"があります。
アンチョビはイワシを三枚卸しにして内臓を取って塩漬けし、熟成させて更に発酵させ、オリーブ油に浸けて缶詰などにしたものです。
つまり、「油漬け」にしたか、「塩漬け」にしたのかの違いですね。

イワシは良質のたんぱく質やカルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルを豊富に含み、骨を丈夫にし、生活習慣病予防などに役立ちます。

オイルサーディンは油を多く使うので、抵抗を感じる人もいるかも知れませんね。
しかし、使用するオリーブ油は酸化しにくく、動脈硬化や心臓病などの予防にも効果があるなど、体に優しい油です。
消化を助けて腸内環境を整え、便秘改善に役立ちます。

オイルサーディン

※圧力鍋で煮ると骨までやわらかくなります

材料 作りやすい分量
イワシ(1尾40g以下の小ぶり) 2kg(50尾くらい)
 
A  
1400ml
大さじ2(30g)
 
B  
白ワイン 400ml
400ml
オリーブ油 100ml
しょうゆ 大さじ1
小さじ1
 
C  
タイム 6~8本
ローズマリー 2~4本
レモンの皮 1/2コ分
にんにく(スライス) 8枚
ローリエ 4枚
赤唐辛子(種を取る) 6本
 
D  
オリーブ油 150ml
サラダ油 150ml
小さじ1

作り方

  1. イワシは頭と腹ワタ、背びれをキッチンバサミで切り落とし(写真a,b)、丁寧に洗います。(A)の塩水に10分間浸けて身を引き締め(写真c)、ザッと水で洗ってザルに上げます。

  2. 圧力鍋に(B)を入れて煮立て、(C)の半量と1.を入れ(写真d,e)、圧力をかけて沸騰後は中火にして20分間煮ます。
  3. 2.が冷めて圧力が抜けたらバットや密閉容器に取り出し、(D)と残りの(C)を入れて冷蔵庫で保管します。

※冷蔵庫で1週間位保存できます
※保存性を高めるには、塩を増やして下さい

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