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インターネット公開文化講座

文化講座

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日本全国食べ歩き~郷土の味を求めて~

栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰・食育伝道師・管理栄養士
テーブルコーディネーター
伊藤 華づ枝

第8回:近畿その(2)(大阪・兵庫・奈良・和歌山)

 前シリーズでは「発酵食品の魅力にせまる」と題し、代表的な発酵食品を毎月順番に取り上げ、その特徴や健康効果、おすすめの料理をご紹介しました。今シリーズでは、筆者が全国各地を食べ歩いて研究した郷土の味、その土地の人々から愛されてきた逸品を、作りやすいレシピにしてご紹介しています。
第8回目の今月は、近畿その(2)「大阪・兵庫・奈良・和歌山」です。

1.近畿地方

大阪府

  • 面積:1,901.42km2
  • 人口:8,859,276人(2013年12月現在)
  • 県庁所在地:大阪市

奈良県

  • 面積:3,691.09km2
  • 人口:1,382,299人(2013年12月現在)
  • 県庁所在地:奈良市

兵庫県

  • 面積:8,396.16km2
  • 人口:5,555,213人(2013年12月現在)
  • 県庁所在地:神戸市

和歌山県

  • 面積:4,726.29km2
  • 人口:977,894人(2013年12月現在)
  • 県庁所在地:和歌山市

六甲山頂カンツリー駅(兵庫県神戸市灘区六甲山頂)での筆者(1988年7月)

2.近畿地方の食文化

 大正末期から昭和初期にかけ、「板前割烹」という様式が大阪の新町に生まれました。
現在は日本全国から世界にまで広がっているカウンター様式ですが、大阪が発祥です。
瀬戸内海に面していることから魚介類が多く獲れるので、ふぐやタコがよく食べられます。大阪のお好み焼き、タコ焼き、串カツは庶民に愛される名物料理です。

 兵庫は太平洋から鳴門海峡に流れる急流により、身の締まった魚介類が多く獲れます。
逆に奈良は海がない県のため、近海の魚を塩漬けにし、殺菌効果のある柿の葉で包んだ「柿の葉寿司」が保存食として生まれました。
和歌山は温暖多湿で、海と山の幸にも恵まれています。高野山など歴史や文化に関する郷土料理が多いのも特長です。
その土地の気候や環境を生かした、おいしい物がたくさんあるのが近畿地方です。

3.近畿地方の名産品と郷土料理

近畿地方には数多くの名産品がありますが、ここではその一部を紹介します。

☆大阪府

日本料理「味所望」

季節の食材を使った日本料理が自慢の店です。
「味吉兆」の料理長も務めたご主人は、厳選した食材・料理人の手間・時間・創意工夫で至高の一品を提供してくれます。
店名の「味所望」という名前の由来は、茶道の「花所望」をヒントに付けられました。
「旬の食材を使った美味しい料理をお客さんに食べて頂きたい」という思いが込められています。

日本料理「味所望(大阪府堺市北区金岡町3005-25)」
店主と筆者

料理写真(2013年5月)


中国料理「一碗水」

今、大阪でもっとも旬だと言われている中国料理店です。
予約の取れない店としても有名です。
シェフは吉祥寺「竹爐山房」や、台湾で修業したと言います。
手作りの春雨など、他では味わえない逸品を食する事ができます。

中国料理「一碗水」(大阪市中央区安土町1-4-5大阪屋本町ビル1階)
店先での筆者

うずらと金針菜の炒め物の写真(2013年6月)


黒門市場

大阪中央卸売市場と並んで、食の宝庫として知られています。
約180の店舗からなり、鮮魚店が半数を占めています。
文政期頃は市場の近くに圓明寺という寺があり、「圓明寺市場」と呼ばれていました。
この寺の山門が黒塗りであった事から「黒門市場」と呼ばれるようになったということです。
市場の中には飲食店もあり、新鮮な魚介類を使った料理店・居酒屋なども増えています。

黒門市場(大阪市中央区日本橋1丁目)前での筆者(2013年5月)

☆兵庫県

ステーキ「麤皮(あらがわ)」

1956年に創業し、神戸の炭火焼きステーキの文化を創造し、本物の素材・味を追求し続けてきました。
2010年には開店54年目にして、ミシュランガイド110年の歴史上初のステーキ部門でニつ星に輝きました。
現在は最高峰の三つ星を目指して、最高の素材と理想の料理を追求し続けています。

ステーキ「麤皮(神戸市中央区中山手通2-15-18)」店先での筆者(1988年7月)

そば処「永楽蕎麦」

挽きたて、打ちたて、湯がきたての「三たて」で知られる「出石皿そば」の店。
メニューは皿そばのみで、国産の粉と地元の水で打った風雅な味わいのそばが楽しめます。

そば処「永楽蕎麦(豊岡市出石町宵田119)」で、皿蕎麦を食べる筆者(1988年7月)

神戸中華街

横浜中華街、長崎新地中華街とともに、日本三大チャイナタウンの1つです。
「南京町(なんきんまち)」とも呼ばれ、点心やスイーツ、食材などを売る100店舗あまりが軒を連ねています。

神戸中華街(神戸市中央区栄町通り)入口での筆者

元祖豚饅頭 老祥記(神戸市中央区元町通5-4-16)前での筆者(1988年7月)


寿司「青辰」

穴子寿司専門店で、カウンターのみの店でした。
1995年の阪神淡路大震災の後に廃業されました。
震災により被災された皆さまへ、心よりお見舞い申し上げます。
穴子の押し寿司と海苔巻がセットになっていて、味は抜群でいつも満員で、昼の12時を過ぎると「終了しました」の札が下がるほどの人気店でした。

寿司「青辰(神戸市中央区元町にあった)」店先での筆者(1988年7月)

☆奈良県

そうめん処「三輪茶屋」(三輪そうめん山本が経営するそうめん処)

享保2年(1717年)、初代山本惣兵衛が「三輪そうめん山本」を創業して以来、1300年にも及ぶ手延べの技法を受け継いでいます。
手延べそうめんは、冬の寒期に36時間の工程を経て作られ、そうめん蔵に収めて保存し、高温多湿の梅雨期を越すことで、コシや風味が高まる効果を利用したもので"厄をこす"といいます。自然素材のこだわりと味を大切にした昔ながらの製法で作られたそうめんは、のど越しとコシが絶妙です。

そうめん処「三輪茶屋(奈良県桜井市箸中880)」でそうめんと柿の葉寿司を食べる筆者

そうめんを干している様子(2010年5月)


料亭旅館「四季亭」

奈良公園の鳥居横にある、創業から百余年の料亭旅館。
社寺風の建物はあたりの景観にしっくりと溶け込み、落ち着いた雰囲気ですが、建物内部は近代的な美しさです。
奈良の焼物「赤膚焼(あかはだやき)」の器に盛った、大和路会席が楽しめます。

料亭旅館「四季亭(奈良市高畑町1163)」の玄関先での筆者

四季亭で食べた大和料理(1991年3月)


柿の葉ずし総本家「平宗(ひらそう)」

文久元年(1861年)、先代・平井宗八が吉野の地に、すし・川魚・乾物等の製造販売業「平宗」を興しました。
昔、山深い吉野では、海の魚は村人たちにとって貴重な食料だったため、魚をいつまでも美味しく食べるために、熊野や若狭でとれた鯖の塩漬けをご飯と合わせ、抗菌・防腐作用に優れた柿の葉でくるみ、保存しました。
柿の葉に含まれるタンニンには抗菌・防腐作用があり、鯖の身をしめる効果があります。
また、柿の葉の良い香りが生臭さを消し、魚の滋味がすし飯に移り、独特の芳醇な味わいを生み出しています。

柿の葉ずし総本家「平宗(奈良県吉野郡吉野町飯貝614)」の玄関先での筆者

平宗で食べた柿の葉ずし(1991年3月)


☆和歌山県

高野山の宿坊「赤松院(せきしょういん)」

高野山の中心に位置する宿坊のひとつで、奥の院に一番近く、参拝に便利です。
高野山とは和歌山県伊都郡高野町にある標高約1,000m前後の山々の総称で、弘法大師空海が修行の場として開いた高野山真言宗、日本仏教における聖地です。
山内の寺院数は高野山真言宗総本山金剛峯寺をはじめ117か寺に及び、その約半数が宿坊を兼ねています。
2004年7月7日、高野山町石道と山内の6つの建造物が熊野、吉野・大峯と共に『紀伊山地の霊場と参詣道』として、ユネスコの世界遺産に登録されました。

宿坊「赤松院(和歌山県伊都郡高野町高野山571)」で夕食を食べる筆者(2010年5月)

ごま豆腐「濱田屋」

高野山と言えばごま豆腐。濱田屋は明治創業の頃から、すっきりとした味わいとなめらかさが人気のごま豆腐専門店です。
敷地内の湧き水と、吉野の本葛、皮を剥いた胡麻をすり潰して作る、生ごま豆腐は風味豊かで濃厚な味わいです。
持ち帰りも出来、その場で食べるスペースもあります。

ごま豆腐「濱田屋(和歌山県伊都郡高野町高野山444)」の店先での筆者(2010年5月)

高野山料理「花菱」

花菱では僧侶間の振舞料理を中心とし、季節の味を伝統の技で丹精込めた、精進料理が楽しめます。五法、五味、五色の基本をひたむきに貫きながら、老舗の味を守り続ける店で、中でも自家製ごま豆腐が有名です。
精進料理だけでなく、会席料理も自慢の名店です。

高野山料理「花菱(和歌山県伊都郡高野町高野山769)」の店先での筆者

花菱で食べた昼食・左側にごま豆腐(2010年5月)


4.近畿の郷土料理レシピ

ごま豆腐

高野山名物のごま豆腐を手作りしましょう

エネルギー235kcal、タンパク質19.6g、脂質10.9g、塩分1.9g(6人分としたときの1人分)
材料(4~6人分) 分量
吉野くず 70g
昆布だし 500ml
 
A  
ねりごま 60g
うすくちしょうゆ 小さじ1弱
大さじ2
小さじ1/3
 
B  
昆布だし 100ml
うすくちしょうゆ 大さじ1/2
小さじ1
みりん 小さじ1
 
柚子(すりおろし) 適宜

作り方

  1. ボウルに吉野くずを入れ、昆布だしを少しずつ加えながら手で塊をほぐして溶かします。
  2. 1.をザルなどで漉し、鍋に入れて(A)を加え、よく混ぜながら火にかけます。
  3. 2.が沸騰したら、中強火で5~10分間程度練ります。
  4. 3.をぬらした流し缶に入れ、水に浮かべて冷やし固めます。(途中、水がぬるくなったら冷水に入れ替えます)
  5. 小鍋に(B)を煮立ててかけづゆを作り、冷やします。
  6. 切り分けた4.を器に盛って5.のつゆをかけ、すりおろした柚子の皮を添えます。

※昆布だしは、昆布をサッと洗って水に漬け、冷蔵庫に1晩おいてじっくりとうまみを引き出したものを使用しました(室温に1時間程置いたものでも構いません)

ハリハリ鍋

※元々はマグロの代わりにクジラ肉を使用した大阪の名物鍋ものです

エネルギー186kcal、タンパク質23.7g、脂質7.0g、塩分0.7g(1人分)※煮汁は30%可食として計算しました
材料(4人分) 分量
水菜 200~300g
マグロ 300g
油揚げ(7センチ角) 4枚
 
A  
かつおだし汁 1000ml
しょうゆ 大さじ3
みりん 大さじ3
大さじ3
 
粉山椒 適宜

作り方

  1. 水菜は4等分くらいの長さに切ります。
  2. マグロは大きめの削ぎ切り(またはブツ切り)にします。油揚げはそのままの長さで短冊切りにします。
  3. (A)を煮立てて2.を入れます。
  4. マグロにある程度火が通ったら、水菜をサッと煮ます。好みで粉山椒をふります。

※残り汁で雑炊を作っても良いでしょう。

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