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インターネット公開文化講座

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発酵食品の魅力にせまる

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第4回:各論 (その3)~ワイン・ビール~

 前シリーズでは「みんなの幸せレシピ」と題し、(1)初めての1人暮らしごはん、(2)パパッと2人ごはん、(3)一緒に作れる!KIDSごはんの3つのジャンルに分けて、みんなが幸せになれるレシピをご紹介しました。今シリーズでは、代表的な発酵食品を毎月順番に取り上げ、その特徴や健康効果、おすすめの料理をご紹介しています。

 第4回目の今月は、「ワイン・ビール」

毎日の疲れやストレスをほぐすためには、スポーツや読書、音楽などの趣味に没頭したり、家族や友人との会話、あるいは十分な睡眠など、人それぞれに合った方法があります。ワインやビールを飲んで、心の緊張感をときほぐし、リラックスする人もいます。ワインやビールなどのアルコールは、心と体に潤いを与えてくれるだけでなく、料理の味を引き立たせたり、空間や時間を楽しく盛り上げてくれるなど、もはや生活の一部として欠かせない存在です。今月15日のボージョレ・ヌーボー(新酒)の解禁日を心待ちにしている人も多いことでしょう。このワインやビールも、発酵食品のひとつです。今月は、最低限知っておきたい、ワインやビールの基礎知識とワインやビールを使った料理レシピをご紹介します。

★ワインとは

ワイナリーのぶどう畑

ぶどうを原料とした醸造酒です。醸造酒は、果実や穀物などの原料を発酵させて造ったお酒で、ワインやビール、日本酒などがあります。


<ワインの歴史>

人類最古のアルコール飲料といわれているワインは、すでに8000年前から飲まれていたとされ、紀元前5000年から4000年頃の文献に、ワインの記述が見つかっています。古代エジプトのピラミッドの壁画にも、ぶどうの栽培やワイン醸造の様子が描かれています。その後ヨーロッパに伝わり、世界へと広がります。日本では、500年以上前の文献からワインと考えられる飲み物を飲んだという記述が残っています。ワインの本格醸造が始まったのは明治時代で、現在は全国各地でおいしいワインが造られています。

<ワインの種類と醸造法>

ワインには製造法や原料、色などによる分類方法がありますが、ここでは家庭や飲食店でよく飲まれているワインについてご紹介します。

<赤ワイン>

黒色系ぶどう

  1. 黒色系ぶどうをつぶし、枝などを取り除く
  2. 果汁と果皮、種子を発酵槽に仕込み、酵母を加えて発酵させる
  3. ワインを取り出す
  4. 熟成させる
  5. ビン詰め

<白ワイン>

  1. 白色系ぶどうをつぶし、枝などを取り除く
  2. 果汁のみをタンクに仕込み、酵母を加えて発酵させる
  3. 以降、赤ワインと同じ

<ロゼワイン>

数種類の方法があり、赤ワインと同様に皮と一緒に発酵させ、色がピンク色になったところで皮などを取り除いてさらに発酵させる方法や、黒色系ぶどうの果汁のみ(ピンク色)を白ワインのように発酵させる方法、赤ワインと白ワインを混ぜるなどの方法があります。


<発泡性ワイン>

二酸化炭素による泡を特徴とし、ガス圧が3気圧以上あるものが発泡性ワイン(スパークリングワイン)、それ以下のものが弱発泡性ワイン(セミ・スパークリングワイン)と分類されます。ビンに詰めて二次発酵させる方法やタンク内で二次発酵させる方法、さらにワインに二酸化炭素を吹き込む方法などがあります。各国で産地や品種、製法など、様々な規定があり、フランスのシャンパンやイタリアのスプマンテ、ドイツのゼクト、スペインのカバなどが有名です。


<ワインの効用>

一般的に1日にワイングラス1~2杯が適量とされています。自分に合った量と飲み方で楽しみましょう。

★ワインなどのアルコールには、ストレスの緩和やリラックス効果があります。食欲を増進させたり、血行を良くする働きもあります。コミュニケーションが円滑になり、良好な人間関係を築くなど、多くのメリットがあります。

★赤ワインに含まれているポリフェノールは抗酸化作用が高く、アンチエイジングに効果的といわれています。動脈硬化予防や美肌、アレルギー予防なども期待できます。

★白ワインは殺菌作用が高く、食中毒の予防に効果的です。有機酸を多く含み、腸内環境を整える働きがあります。また、カリウムが多いため利尿作用があり、血圧降下作用が期待できます。

<ワインを使ったとっておきレシピ>

ワインの風味を生かした料理をご紹介しましょう。
年末にかけてのクリスマス会や忘年会など、おもてなし料理にも喜ばれます。

チキンの赤ワイン煮込み

コク深い味わいのジューシーチキン

エネルギー273kcal、タンパク質23.5g、脂質11.4g、塩分2.4g(3人分としたときの1人分)
材料 2~3人分
鶏もも肉 350g
小さじ2/3
こしょう 適宜
小麦粉 大さじ2
オリーブ油 大さじ1・1/2
にんにく(みじん切り) 1かけ分
玉ねぎ(小角切り) 大1/2コ(130g)
セロリ(筋を取り、斜め切り) 1/2本(50g)
赤ワイン 100ml
トマト(皮をむき、種を取って小角切り) 1コ(160g)
ホールトマト缶 1/2缶(200g)
ローズマリー(ドライあれば) 少々
チキンスープの素 1/2コ
小さじ1/2強
こしょう 適宜
パルメザンチーズ 適宜

作り方

  1. 鶏肉は1枚を6~8つに切ります。分量の塩とこしょうをふり、小麦粉をまぶします。
  2. 厚手の鍋にオリーブ油を入れ、1.の表面をカリッと焼きます。
  3. 2.を取り出し、にんにくをゆっくりと弱火で炒めてから玉ねぎを炒めます。
  4. 3.にセロリを入れ、2.を戻し入れます。
  5. 4.に赤ワイン、トマト、ホールトマト缶、ローズマリー、チキンスープの素を加えて20分間程煮込みます。
  6. 5.に塩とこしょうで調味し、仕上げます。
  7. 器に盛り、パルメザンチーズを散らします。

★ビールとは

ビール工場で定期開催されている「ビールに合うおいしい料理講座」にて

大麦を原料とした醸造酒です。


<ビールの歴史>

紀元前6000年以上前から存在したといわれ、紀元前3000年頃のメソポタミアのビール造りが描かれている記録が残っています。その後、重要な飲み物として世界中の人々に広まっていきました。日本へ入ってきたのは今から300年程前で、140年程前に日本初のビール会社が開業しました。

<ビールの醸造法>

  1. 大麦を発芽させ、麦芽を作る
  2. 麦芽を糖化させ、ろ過する
  3. 麦汁にホップを加えて煮沸する
  4. 冷却し、ビール酵母を加えて発酵・熟成させる
  5. ろ過してビン詰め

<ビールの定義>

ビールの定義は酒税法により定められており、(1)麦芽・ホップ及び水を発酵させたもので、麦芽の使用量が2/3以上ならビール、(2)麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもので、麦芽以外の原料の使用量が1/3以上なら発泡酒、(3)糖類・ホップ・水・及び大豆・えんどう・とうもろこし等を原料として発酵させた醸造酒(発泡性)と麦芽比率50%未満の発泡酒にスピリッツを加えたもので、エキス分が2%以上のリキュール(発泡性)を新ジャンルとしています。


<ビールの効用>

一般的に1日に中ビン1本分(500ml)が適量といわれています。

★ワインと同様に、ビールなどのアルコールにはストレスの緩和やリラックス効果、食欲増進や血行促進、円滑なコミュニケーションなど、多くのメリットがあります。

★ビールにはビタミンB群が多く、美肌効果があります。

★利尿作用や便秘予防が期待できます。

<ビールを使ったとっておきレシピ>

ビールの特性を生かして料理に活用しました。おかずにも、ビールのお供にも最高です。

海の幸フリット

ビール入りの衣でサクサクふんわり

エネルギー522kcal、タンパク質24.9g、脂質26.6g、塩分1.6g(1人分)
材料 2人分
エビ(中) 6尾
タラ(80g) 2切れ
イタリアンパセリ(みじん切り) 大さじ1
パプリカ(赤) 1/4コ
パプリカ(黄) 1/4コ
イタリアンパセリ 1~2本
適宜
こしょう 適宜
 
(A)  
小麦粉 100g
かたくり粉 大さじ1
ビール(よく冷えたもの) 150ml
小さじ1/2
 
揚げ油 適宜

作り方

  1. エビは尾を残して殻をむき、背わたを取って塩とこしょうを振ります。
  2. タラは皮と骨をとり、ねばりがでるまで包丁でたたきます。みじん切りのイタリアンパセリと塩、こしょうを加えてよく混ぜます。6~8等分に分け、楕円形に形を整えます。
  3. パプリカはヘタと種をとって、縦に2つに切ります。イタリアンパセリは、1枝ごと(しその葉程度)に切り離します。
  4. ボウルに(A)を入れてよく混ぜ合わせます。
  5. 油を170~180℃に熱し、1.~3.を4.につけてカラリと揚げます。
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