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発酵食品の魅力にせまる

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第1回:総論前編~発酵食品とは?~

 前シリーズでは「みんなの幸せレシピ」と題し、(1)初めての1人暮らしごはん、(2)パパッと2人ごはん、(3)一緒に作れる!KIDSごはんの3つのジャンルに分けて、みんなが幸せになれるレシピをご紹介しました。今シリーズでは、代表的な発酵食品を毎月順番に取り上げ、その特徴や健康効果、おすすめの料理をご紹介します。

 第1回目の今月は、「発酵食品とは?」

健康志向が年々高まる中、「発酵食品は体に良い」という意識が定着してきました。健康番組や雑誌でも特集が多く組まれるほど、発酵食品が注目されています。日本では古くから人々の生活とともに発酵食品が存在し、日本人の長寿は発酵食品が支えてきたといっても過言ではないほどです。ところが、発酵食品について、何となくは知っていても、はっきりとはわからない、今さら聞けない、難しそうなどという声が聞かれます。
そこで第1回目の今回は、発酵食品とはいったいどういうものなのか?を取り上げます。さらに次回からは、私たちの食生活に欠かせない代表的な発酵食品を詳しくご紹介します。

★発酵食品とは何か?

発酵とは

微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象を発酵といいます。

発酵食品とは

微生物の増殖により産生する物質や微生物の酵素による働きを利用して、食材の変化をおこさせた食品です。

■発酵食品を作る微生物とは?

「細菌」「酵母」「カビ」のことです。

  • 病原菌や腐敗微生物など有害なもの
  • 「乳酸菌」「納豆菌」など有用なもの

があり、その種類はとても多くあります。

■微生物には2種類あります

  • 悪玉菌・・・食べ物を腐らせる、人を病気にするなど、人間にとって悪いことをする
  • 善玉菌・・・食べ物をおいしくする、健康に役立つなど、人間にとって良いことをする

■「腐る」と「発酵」はどう違う?

腐るのも発酵するのも、微生物が原因です。微生物の代謝活動の結果、人間が食べられないものになれば「腐る」といい、風味豊かな食べられるものになれば「発酵」といいます。

クイズ★発酵食品はどれでしょう?

次の食品の中から、発酵食品を選びましょう。普段何気なく食べているものも、実は発酵食品かも!?

(1)みそ
(2)納豆
大豆から作られ、旨味があって塩味の他に酸味もあります 大豆から作られ、ネバネバと糸を引きます
(3)酢
(4)しょうゆ
米酢、穀物酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガー、バルサミコ酢などがあります みそと同じ、大豆から作られます
(5)ソース
(6)みりん
野菜や果物の絞り汁に味付けして作られます 米から作られ、甘みがあります
(7)ワイン
(8)日本酒
ブドウから作られるお酒です 米から作られるお酒です
(9)パン
(10)チーズ
ふんわり、焼き立ての香ばしさはたまりません 独特な香りを持ち、塩味と酸味があります
(11)こんにゃく
(12)ナタデココ
こんにゃく芋から作られ、強い弾力があります シコシコとした噛みごたえがあります
(13)メンマ
(14)梅干し
コシのある独特の歯ごたえが特徴です 梅と塩を漬け込んで作ります
(15)アンチョビー
カタクチイワシ科の小魚を塩漬けして作ります

■クイズの回答

【発酵食品】
(1)みそ、(2)納豆、(3)酢、(4)しょうゆ、(6)みりん、(7)ワイン、(8)日本酒、(9)パン、(10)チーズ、(12)ナタデココ、(13)メンマ、(15)アンチョビー

【発酵食品でない】
(5)ソース、(11)こんにゃく、(14)梅干し

さて、何問正解しましたか?
発酵食品は、とても身近な食品ばかりですね。それぞれの発酵食品についての詳細は、次回以降にご紹介します。

世界で最も古い発酵食品は何だった?

人間が初めて口にした発酵食品は、ワインかヨーグルトのどちらかだったといわれています。
発酵食品は昔の人々の長年にわたる人体実験によって出来上がった、偶然の産物であるともいえます。
世界各国で、各地域の食材、気候や風土、民族性なども関係しながら、独自の食文化が作られていきました。
日本ではみそ、しょうゆ、日本酒など、日本の食生活に欠かせない発酵食品が生まれました。

発酵食品が持つ3大力

(1)食べておいしい

  • 微生物の力により、食材のでんぷんや糖、タンパク質が分解発酵され、旨味や風味が増加します。
  • 微生物そのものにも旨味があります。
  • 両者が混ざり合い、独特のおいしさを感じられます。人によっては「クセになる味」となります。

(2)栄養価が高い

微生物が、ビタミン、必須アミノ酸など、人間が生きていく上で欠かせない物質を作り出します。
また、発酵することで消化・吸収が良くなります。

(3)食材の保存性が向上する

食べ物の保存方法
  1. 乾燥(干物・乾物など)
  2. 塩蔵(他に砂糖漬け・酢漬けなど)
  3. 燻製
  4. 発酵
なぜ保存できるのか

発酵菌が強いため、腐敗菌などの他の菌の繁殖を抑えます。
そのため、長期保存ができるようになるのです。

様々に利用される発酵のしくみ

発酵は食品以外にも多くの場面で活用されています。

■医薬品

抗がん剤などの医薬品は、発酵生産物が多くあります

■洗剤

発酵により汚れを分解する酵素が生まれます

■バイオマスエネルギー

再生可能な、生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたものです
地球にやさしく、化石資源由来のエネルギーを代替するものとして期待されています

■下水処理

活性汚泥法

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