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インターネット公開文化講座

文化講座

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発酵食品の魅力にせまる

栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰・食育伝道師・管理栄養士
テーブルコーディネーター
伊藤 華づ枝

第12回:総論後編:発酵食品のいろいろ

 前シリーズでは「みんなの幸せレシピ」と題し、(1)初めての1人暮らしごはん、(2)パパッと2人ごはん、(3)一緒に作れる!KIDSごはんの3つのジャンルに分けて、みんなが幸せになれるレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、代表的な発酵食品を毎月順番に取り上げ、その特徴や健康効果、おすすめの料理をご紹介してまいりました 。

シリーズ最終回の今月は、「発酵食品のいろいろ」

全12回を通して発酵食品について、作り方から健康効果・おすすめ料理などを紹介し、その魅力をお伝えしてまいりました。

これまで紹介してきた代表的な発酵食品以外にも、日本各地や世界各国には多くの珍しい発酵食品があります。
最終回の今月は、珍しい発酵食品と世界一かたい発酵食品をご紹介します。

日本各地の珍しい発酵食品

1. 「めふん」:北海道

めふん

サケやマスの腎臓の塩辛です。
とろみがあり、鉄がさびたような臭いが特徴の発酵食品です。

黒い色をしていて食感にとろみがあります。
酒の肴として珍重されているほか、ストレスを回復させる栄養素であるビタミンB12や鉄分を豊富に含んでいるため、健康食品としても注目されています。


2. 「フグの卵巣のぬかづけ」:石川県

猛毒のあるフグの卵巣の発酵食品です。
卵巣を塩漬けにして水洗いした後、糠・麹・唐辛子に漬け、イワシの魚醤を注いで発酵させます。
2年以上浸けると毒が抜けます。
世界一珍しい発酵食品といわれています。金沢の料亭などで、珍味として出されています。

3. 「くさや」:東京都

発酵した魚の塩漬け汁に、魚を浸してから天日干しする干物です。
江戸時代に臭いから「くさや」という名前がついたと言われていますが、いつ頃から呼ばれていたかは不明です。

4. 「すぐきづけ」:京都府

「すぐき菜」というカブの一種で、乳酸菌のはたらきで発酵させて作ります。
甘酸っぱい香りと強い酸味が特徴です。

5. 「碁石茶」:高知県

1991年~高知駅前での筆者~

微生物の力で発酵させる珍しいお茶。
発酵後の茶葉を圧力をかけて固めて四角く切り、乾かすと角が取れて碁石の形になります。
乾かす時に固まった(碁石の形)お茶を並べた様子が、碁盤に黒い碁石を並べたように見えるところから、「碁石茶」と名付けられました。
便秘改善、免疫効果、新陳代謝促進など、健康作用があると言われています。


6. 「とうふよう」:沖縄県

「島豆腐(沖縄で製造されている固い豆腐)」を、「紅麹(清酒や味噌に用いられる麹菌の仲間)」や「泡盛(沖縄の焼酎)」に漬け込んで熟成させたもの。
ウニに似た風味とチーズに似た食感をしています。

1989年~那覇市にある琉球料亭の「美栄」の前での筆者~

美栄の自家製とうふよう


世界各国の珍しい発酵食品

1. 「キビヤック」:カナダ~北部~

海鳥の発酵食品
アザラシの腹にアパリアスという海鳥を詰めて2~3年、土の中で発酵させます。
ビタミン類の補給として大切な食品です。

2. 「テキーラ」:メキシコ

「リュウゼツラン」という植物の根からとれた汁の発酵を利用して蒸留します。
アルコール度数35~55%

テキーラと華づ枝作「マルガリータ」

2008年~メキシコにてマルガリータを飲む筆者~


3. 「ビール」:ドイツ

原料は大麦の麦芽(種から麦が出たもの)
発酵温度や期間で様々な種類があります。

ドイツビール

2007年~ドイツにてビールを飲む筆者~


4. 「ザワークラウト」:ドイツ

ドイツで食べたザワークラウト

ドイツの代表的な保存食で、キャベツの漬物です。
乳酸菌の効果で酸味があり、ソーセージなどの付け合せに用いられます。


5. 「メンマ」:中国

台湾産の麻竹(まちく)というタケノコの一種の先端部分を細かく刻んで、乳酸発酵させた食品です。
こしのある独特の歯ごたえが特徴です。

メンマ

華づ枝作「メンマと白髪ねぎのピリ辛丼」


6. 「テンペ」:インドネシア

テンペ

ゆでた大豆を発酵させて作る、インドネシア版の納豆です。
日本の納豆とは違い、ネバネバしていません。


華づ枝作「テンペの唐揚げ&かき揚げ」

華づ枝作「テンペのサンドイッチ&ピカタ」


7. 「ナンプラー」:タイ

ナンプラー

独特の臭いが特徴的な、しょうゆです。
淡水に住む雑魚を、約半年~1年ほど発酵させて作ります。


ベトナムでは「ニョクマム」、日本では「魚醤(ぎょしょう)」と呼ばれています

ベトナムで購入したニョクマム

華づ枝作「ニョクマムを使ったフォー・ガー(鶏肉のベトナムうどん)」


8. 「シュール・ストレンミング」:スウェーデン

世界一臭い缶詰として有名です。
開いたニシンを塩漬けし、発酵させて作ります。
炭酸のピリピリした口あたりと、酸味や塩のきいたニシンの濃厚な味わいが特徴です。
炭酸ガスでふくらんでいる缶を開ける時は、中身が飛び散る恐れがあります。

※「シュール・ストレンミング」を開ける際の注意点は...

  • 家の外で開ける
  • 汚れてもよい服装で開ける
  • 開ける前に冷蔵庫に入れ、ガス圧を下げる事
  • 風下に人がいないか確認してから開ける

これらの事に注意をして開けましょう!!

長い歴史を持つ発酵食品~なれ鮓~

日本の発酵食品の中でも、特に長い歴史を持つ「なれ鮓(ずし)」。
「なれ鮓」とは、魚・塩・ごはんを漬け物のように漬け込み、乳酸発酵させて作ります。
地域によって名前も様々で、「くされずし」・「いずし」とも呼ばれています。
最も有名なものは、滋賀県の「ふなずし」です。

現在の寿司は酢飯を使って乳酸発酵させないで作るので、早ずし(江戸前寿司)と呼ばれています。

ふなずし

ふなずしのアイスクリーム


2011年雪降る中、滋賀県にある発酵食品で有名な料亭「徳山鮓」へ行きました

余呉駅前での筆者

店の前での筆者


発酵食品の有名料亭ではふな鮓以外にサバのなれ鮓

カラスミと豆腐のなれ鮓も賞味しました


世界一かたい発酵食品~かつお節~

かつお削り器

「かつお節」は、「カビ」の働きで作られる発酵食品です。

「かつお節」は日本が誇る発酵食品で、「勝男武士」という当て字
もあるほど、縁起かつぎやお祝いの席に使われます。

「かつお節」の作り方・・

  1. かつおの身を煮る
  2. 骨を取り除いて、いぶす
  3. 日光で乾燥させ、カビ桶でカビ付けする
  4. 何度かカビ付け作業をして完成

「かつお節」はとても固い為、専用の削り器で削りますが、
削った削り節が市販されているので、手軽にだしを取ることが出来ます。

かつおだしをとっているところ

かつお枯本節削り


まとめ

私は講演会などで、「健康維持に1番大切な場所は脳でも心臓でもなく、お腹(胃腸)です」とお話しています。

私どもの腸内には約100種類、100兆個の腸内細菌が住みついており、発酵食品を食べることによって腸の善玉菌を活発にさせます。
腸内細菌には、善玉菌・悪玉菌・日和見ひよりみ菌の3種類あり、善玉菌と悪玉菌は全体の各10%、残りの80%は日和見菌と言われています。

日和見菌が悪玉菌にならないよう、善玉菌を活発にして健康に過ごすためには、発酵食品を摂取することが大切です。
私どもが昔から食べていた日本食には、みそ・しょうゆ・酒・酢・かつお節・漬け物など多くの発酵食品があります。

健康に過ごすためには、「日本型の食事(発酵食品を豊富に含む)をゆっくりよく噛んで食べることが大切」です。

皆様の益々ご健康をお祈りし、今シリーズを終わらせて頂きます。

次シリーズでは、「全国おいしいもの食べ歩き」というテーマで、筆者が全国各地を食べ歩いて研究した郷土の味やその土地の人々から愛されてきた逸品を、作りやすいレシピにしてご紹介致します。

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