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お弁当の作り方

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第9回:時短レシピで三色そぼろ弁当~ホームフリージングの上手な活用(1)~

前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。

 第9回目のテーマは「時短レシピで三色そぼろ弁当」

新年度を迎え、慌ただしくも充実した日々をお過ごしのことでしょう。仕事や子どもの学校などの都合で、生活が新しくガラリと変わった人、または4月から新しく何かを始めた人など、春は変化の季節でもあります。4月からお弁当作りの仲間入りをしたという人も多いのではないでしょうか。今月は忙しい朝に大活躍する冷凍食品について取り上げます。ホームフリージングを上手に活用して、一緒に楽しいお弁当生活を満喫しましょう。

★進化する冷凍食品

「冷凍食品を使うのは手抜きだ」「冷凍食品はおいしくない」という時代は過ぎました。飲食店や惣菜店、家庭での食事やお弁当などで、冷凍食品は私達の生活に欠かせない存在となっています。種類も豊富な上、安全でおいしいものが多く市販されています。冷凍うどんはゆでうどんよりコシがあっておいしいという認識は、今や多くの人の常識となっていますね。冷凍食品のメリットは数多くあり、

  1. できたて、とれたてで新鮮
  2. 急速冷凍のため栄養価が低下しにくい
  3. 菌が繁殖しにくく、衛生的
  4. 調理時間が短縮できる
  5. 下処理がしてあるのでゴミが出ずエコ
  6. 時期を問わずいつでも食べられる
  7. 自然解凍で保冷剤代わりになる
  8. 価格が安定している

年々需要が拡大しているのがよくわかります。

一方、デメリットとしては

  1. 手抜き、愛情がないというイメージ
  2. 自分で作っていないので、食材のルーツなどが不安
  3. 味付けが濃い、好みで調整できない
  4. カロリーや栄養価が心配
  5. 多少価格が高い

などがあげられます。

とても便利な冷凍食品ですが、どうしても買う気にならない、使った事がないという話も聞きます。そんな人も、自分で作った冷凍食品なら取り入れやすいかもしれません。冷凍食品のメリットとデメリットの両方を兼ね備えたものが、ホームフリージングなのです。

★ホームフリージングの活用

ホームフリージングは家庭用の冷凍庫を使うため、野菜などの栄養価やできたての味を急速冷凍する、菌が繁殖しにくいという点では、市販の冷凍食品に比べると劣りますが、何より安心で愛情のこもった手作りであるという最大のメリットがあります。夕食のおかずを作る時、少し多めに作って冷凍しておけば、何か一品追加したい時にとても助かります。ホームフリージングのコツをしっかり理解し、充実したお弁当作りにお役立てください。

■ホームフリージングのコツ


  肉そぼろは広げて一食分ずつ
  分けて急速冷凍

<急速冷凍>
十分冷ましてから一気に冷凍します。冷凍に時間がかかると、食品中の水分が大きな結晶となって組織が傷み、品質低下を引き起こします。できるだけ早く冷凍するのが、おいしく保存するコツです。少量ずつ薄く広げると、早く冷凍できます。熱伝導のよいアルミトレイにのせると、通常より早く冷凍することができます。



  煮物はカップに入れて冷凍

<少量ずつ小分けする>
使いやすいように一回分ずつ小分けして冷凍します。量が多いと解凍する時にも時間がかかり不便です。


<密封する>
できるだけ空気に触れないように密封します。ラップに包み、冷凍したらフリージングパック(以下パックと記載)に入れかえて保存すると場所を選びません。

<水分をしっかりきる>
煮物などの完全調理品を一食ずつお弁当用カップに入れて冷凍する場合は、解凍する時に水分が出るため水分をしっかりきってから冷凍します。ハンバーグやミートソースなど、解凍して再度加熱する場合はソースと一緒に冷凍します。

<一度解凍したものは再度冷凍しない>
品質が著しく低下するため、解凍したらすぐに使い、再冷凍はしないことが鉄則です。


  日付を記入して管理

<冷凍期間を認識する>
冷凍した日付を記入するなど、冷凍期間をきちんと把握しましょう。素材にもよりますが、冷凍の期間は2~3週間を目安にすると良いでしょう。冷凍すればいつまでも食べられるということではありません。あくまでも、自己責任の上で冷凍することが求められます。いつ冷凍したものかわからなくなり、何カ月も冷凍庫に入ったままで結局捨ててしまったということがないように気を付けましょう。


■冷凍・解凍の方法

ここではお弁当でよく使う食品をご紹介します。冷凍食品・冷凍野菜として市販されているものは、基本的にホームフリージング可能です。アレンジ次第で自分だけの冷凍食品が楽しめますよ。

<野菜類>
家庭菜園で多くとれたり、たくさんいただいた、安売りで購入したなど、食べきれない場合には冷凍が経済的です。冷蔵庫であまり日持ちしない野菜は、購入後すぐに下処理して冷凍保存すると長持ちします。あらかじめ下処理がしてあるため、手間も省けます。解凍する際に電子レンジにかけたり、熱湯を通して加熱する場合は、あらかじめ下処理の加熱時間を少し短めにして冷凍すると、解凍時にちょうど良い状態になります。

●青菜
短めに塩ゆでしてしっかり水分を絞り、使いやすい大きさに切って一回分ずつラップに包み冷凍します。広げると早く冷凍できます。解凍は電子レンジに短時間かけるか、熱湯にさっと通します。解凍する時に多少水分が出るため、調理前に再度絞ってから使いましょう。ごま和えなどは一食分ずつお弁当用カップに入れて冷凍します。そのままお弁当箱に入れると保冷剤代わりにもなります。

●ブロッコリー
塩ゆでしてしっかり水気をきり、小房に分け広げて冷凍します。凍ったらパックなどに入れかえると場所をとりません。お弁当作りのはじめに冷凍庫から出して室温で戻しておけば、他のおかずを作っている間に解凍できます。そのままお弁当のすき間に入れたり、マヨネーズなどで和えてサラダに。炒め物などで調理する場合は凍ったままでOKです。

●サヤインゲン、サヤエンドウ
これからの季節においしくなるサヤインゲンやサヤエンドウは、筋をとって短めに塩ゆでし、水気をきって冷凍します。電子レンジや熱湯に通して解凍します。野菜類を熱湯に通して解凍する場合は、ポットのお湯をかける程度で良いのです。できるだけ火を使わず、手軽にできるとうれしいですね。

●グリーンピース
塩ゆでして煮汁に入れたまま冷まし、汁ごと冷凍するとしわになりません。解凍しやすいように一回分ずつに分けてタッパーに入れるかパックに入れて保存します。汁ごと電子レンジにかけるか、室温で解凍します。ご飯に混ぜたり、おかずの彩りに散らしたり、常備しておくと便利です。

●枝豆
塩ゆでし、広げて冷凍します。凍ったらパックなどに入れかえます。流水で解凍するか、室温で自然解凍します。凍ったままお弁当のすき間に入れることができ、とても手軽です。


 枝豆で彩りアップ


●ジャガイモ
ポテトサラダを作り、一食分ずつお弁当用カップに入れて冷凍しておくと、そのままお弁当箱に入れられて便利です。キュウリなどの水分がでる野菜は入れないようにします。または皮をむいて使いやすい大きさに切り、電子レンジでかために加熱して冷ましてから冷凍します。そのまま煮物や炒め物、揚げ物などに使います。

●里芋、カボチャ
煮物などは汁気をきって一食分ずつお弁当用カップに入れて冷凍しておくと、そのままお弁当箱に入れられて便利です。または皮をむいて使いやすい大きさに切り、電子レンジでかために加熱し、冷ましてから冷凍します。そのまま煮物や炒め物などに使います。

●ネギ
小口切りにして冷凍し、冷凍のまま使います。いつでもさっと使えます。

●パセリ
そのままパックに入れて冷凍します。使う分だけ取って冷凍のまま手でもんで振りかけます。彩りや味のアクセントになります。

<魚類>
●切り身魚
適当な大きさに切り、下味をつけてから冷凍すると、味付けの手間が省けます。就寝前に冷蔵庫へ移し、自然解凍してから焼きます。朝の調理時間をさらに短縮したい場合は、焼いて冷ましてからラップに包んで冷凍します。鮭の切り身は、焼いてほぐしてから冷凍するとおにぎりにもサッと使えます。

●しらす干し
新鮮なうちに冷凍します。自然解凍か熱湯をさっとかけて解凍します。ごはんや和え物、卵焼きなど用途が多い魚です。

●タラコ
お弁当用には加熱してほぐしてから冷凍すると便利です。そのままおにぎりの具として使えます。

●イカ
下処理に時間がかかるイカは冷凍しておくと便利です。輪切りや適当な大きさに切ってから冷凍します。冷凍のまま調理します。


 八宝菜


●エビ
背ワタをとって殻付きのまま冷凍する場合は、就寝前に冷蔵庫へ移し、自然解凍するか流水で解凍してから殻をむいて調理します。加熱して殻をむいたものを冷凍する場合は、自然解凍後サラダや炒め物にすぐに使えます。エビチリなどは、一食分ずつカップに入れて冷凍しましょう。


 エビピラフはお弁当に大人気

その他肉類やご飯類、調理品などは来月ご紹介する予定です。お楽しみに。


時短レシピで三色そぼろ弁当

~お弁当の定番もホームフリージングでぐっと手軽に~

三色そぼろ弁当といえば、子どもも大人も年齢を問わず誰もが好きなお弁当の定番です。「今日のお弁当は三色ごはんにして」という急なリクエストにも、ホームフリージングならすぐに対応できますよ。解凍するだけの簡単調理で、美しいお弁当の完成です。インゲン豆の甘煮など、お弁当に甘いものが入っていると気分がホッとして食欲が増します。冷凍してストックしておきましょう。お弁当の彩りがとても重要ということは、先月の第8回:春の花園ちらし寿司弁当~色別おかず作りのヒント~で取り上げました。花のじゅうたんを敷き詰めたようなお弁当は、見た目も味も大満足。春風にのって、心も体も弾みます。

★三色そぼろごはん

エネルギー412kcal、たんぱく質18.0g、脂質5.9g、塩分1.8g(1人分)
材料 2人分
ご飯 2杯
(A)  
鶏ひき肉 100g
しょうゆ 大さじ1
砂糖 少々
みりん 大さじ1
大さじ1
(B)  
1コ
砂糖 小さじ1強
少々
青菜 100g
少々
白ゴマ 小さじ1
紅しょうが 適宜

作り方

  1. なべに(A)を入れ、はし数本でかき混ぜながら鶏そぼろを作り、冷凍します。自然解凍か電子レンジで解凍します。
  2. 別なべに(B)を入れ、ときどき火からはずしながら細かい卵そぼろを作り、冷凍します。自然解凍か電子レンジで解凍します。
  3. 青菜は塩ゆでして細かく切り、冷凍します。冷凍のまま鍋に入れ、から炒りしながら塩で調味し、ゴマをまぶします。
  4. お弁当箱にご飯を詰め、1.~3.と紅しょうがを彩り良くのせます。

★魚のつけ焼き~酢レンコン添え~

エネルギー121kcal、たんぱく質10.5g、脂質4.9g、塩分1.0g(1人分)
材料 2人分
魚の切り身(サワラやブリなど) 2切れ
(A)  
みりん 小さじ2
小さじ2
しょうゆ 小さじ2
柚子(あれば) 少々
レンコン(ゆで) 30g
甘酢 50ml

作り方

  1. 魚は適当な大きさに切って(A)に漬け込み、冷凍します。
  2. 前夜に冷蔵庫へ移し、朝焼きます。焼いてから一切れずつラップに包んで冷凍し、自然解凍しても良いでしょう。
  3. レンコンはゆでて甘酢に漬けます。

★白インゲンとさつま芋の甘煮

エネルギー80kcal、たんぱく質2.8g、脂質0.3g、塩分0g(1人分)
材料 4人分
白インゲン豆(乾) 50g
さつま芋 50g
砂糖 20g
少々
プルーン(乾) 2コ

作り方

  1. 豆はよく洗ってから、3~4倍の水に一晩つけます(急ぐ時はぬるま湯に3時間程つけます)。
  2. 1.をつけ汁のまま火にかけ、やわらかくなるまで煮ます。
  3. 途中で皮付きのまま小さく切ったさつま芋を加え、八分通り煮えたところで砂糖と塩を加え、味がなじむ程度に煮ます。
  4. ぬるま湯で戻して適当な大きさに切ったプルーンを加えて火をとめ、そのまま冷まして味を含ませます。
  5. 冷めたら汁気を切り、カップに入れて冷凍します。そのままお弁当に詰めると、保冷剤代わりにもなります。

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