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お弁当の作り方

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第12回:盛夏のピリ辛ビビンバ弁当~冷めてもおいしいお弁当を作ろう~

前シリーズでは「歳時記とごはん」と題し、日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、もっと身近な食育として「お弁当の作り方」を旬のレシピとお弁当作りが楽しくなるコツとともにご紹介しています。

 今シリーズ最後の回となった第12回目のテーマは「盛夏のピリ辛ビビンバ弁当」

真っ青の空にまぶしい太陽、鮮やかな色の花々、虫たちの賑やかな鳴き声。いよいよ夏本番を迎えました。この「お弁当の作り方」シリーズもついに最終回です。昨年の夏、食中毒を防ぐお弁当作りのコツから始まり、おいしそうに見える切り方や詰め方、彩り、栄養バランスについて、おかずの再利用や冷凍術など、毎日のお弁当作りがもっと楽しくなる工夫をご紹介してきました。今回は、冷めてもおいしいお弁当を作るコツをご紹介します。

★冷めてもおいしい工夫

お弁当は通常の食事とは違い、食べる時には冷めている状態です。いつも食事で食べている時はおいしいのに、お弁当に入れたらあまりおいしくなかったということにならないように、冷たくてもおいしいお弁当を作りたいものです。

■味と温度の関係

人の味覚は温度によって感じ方に差があります。例えば、加糖のホットコーヒーを買って飲んでいた場合、はじめは熱くて甘かったのに、しばらく置いておいて冷めたものを飲んだらあまり甘くなかったという経験はないでしょうか。実は、同じ味付けでも温かいものと冷たいものでは感じ方がかなり違います。この味と温度の関係を考えながらお弁当を作ると、よりおいしいお弁当を作る事ができます。

<塩味>
塩味は「温かい」より「冷たい」方が強く感じます。冷たいみそ汁が少し塩辛く感じられるのもこのためです。味見をした際にちょうど良い塩加減だと、お弁当で食べた時は塩辛く感じるかもしれません。「ちょっと薄味かな」と思う程度に仕上げると、お弁当にちょうど良い味付けになります。

<甘味>
甘味は塩味とは逆で、「冷たい」より「温かい」方が強く感じます。ゼリーなどは固める前のまだ温かい状態で味見をすると「甘すぎる」と感じますが、冷めて固まるとちょうど良い甘さになります。味見の段階で砂糖を減らしてしまうと、甘味が足りずおいしくないという結果に。煮豆や煮物などの甘さのあるものは、少し甘めに仕上げると良いでしょう。

<酸味>
酸味は温度による感じ方の差があまりありません。しかし、例えば酢豚の場合は冷めると甘味を感じにくくなるため、その分酸味がきつく感じられることがあります。

<苦味>
苦味は「冷たい」より「温かい」方が穏やかに感じます。苦味のある食材を使用する時には、冷たいと苦味を強く感じるため、苦味を上手にカバーする味付けを考えましょう。

■ご飯をおいしく

お弁当の約半分を占めるご飯。カチカチのかたいご飯はちょっと残念です。ご飯がおいしいと、お弁当がおいしくなります。

<詰め過ぎない>
あまり強く押して詰め込み過ぎるとかたくなります。少し余裕を持ってふんわり詰めましょう。

<すし飯はかたくなりにくい>
すし飯は冷めてもかたくなりにくい上、防腐効果もあり、暑い季節には特におすすめです。

<混ぜご飯・炊き込みご飯>
混ぜご飯や炊き込みご飯など、味がついているご飯は、冷めてもおいしくいただけます。

<ガス炊きがおすすめ>
ガスの強いパワーで炊き上げるご飯は、しっかりと水分を含んでいて粘りとツヤがあるため、冷めてもかたくなりにくい特徴があります。

<お米の種類・炊飯器の種類>
「冷めてもおいしい」というお米が販売されています。また、炊飯器によって様々な機能に違いがあります。必要に応じて上手に活用しましょう。

※市販のお弁当は、ご飯を炊くときに塩や油を混ぜるといったこともありますが、素材の持ち味を生かして、手作りならではの良さを生かしたいものです。

■油に注意

油は冷めるとかたまって口当たりが悪くなります。脂肪が多いものはお弁当に不向きです。

<肉>
バラ肉などの脂肪の多い肉は、冷めると白く固まるので注意が必要です。例えばロースカツの場合、熱々を食べる時は多少脂肪が付いていた方がおいしく感じますが、お弁当で冷めたものを食べる時は、脂肪が多いと胃もたれなどの原因にもつながります。ある程度取り除いて使いましょう。焼いたり炒めたりする時は、フライパンに出た脂をキッチンペーパーで拭きとります。煮汁の多いものは、一度冷まして白くなった脂肪を取り除いてから煮返すと良いでしょう。

<バター・マーガリン>
バター炒めなどバターを使った料理は冷めるとかたまって風味も落ちてしまうので、マーガリンを使うと良いでしょう。

■冷たい料理はお弁当でもおいしい

もともと冷たい状態で食べる料理(サラダや酢の物、マリネなど)は、お弁当でもそのままでおいしくいただけます。

夏の定番冷やし中華は、タレを別にしておいて、食べる時にかけましょう。暑さで食欲がない時でも食が進みます。


■実際に自分で食べて確認する

一番確実な方法は、自分で食べてみておいしいかを確認することです。お弁当を作る時に、同じものをもう一つ作っておき、お昼に食べてみましょう。また食事の際にも、冷めたものを食べてみると、温かいものとの違いが実感できます。

お弁当作りで大切なことは色々ありますが、一番はやはり「愛情」です。食べる人のことを思いながら作るお弁当は、世界でひとつしかない特別なお弁当です。これからも自信を持って、お弁当作りを続けましょう。

盛夏のピリ辛ビビンバ弁当

~食欲をそそるピリ辛味で夏を元気に乗り切る~

韓国料理のビビンバは、温かくても冷たくてもおいしくいただける料理です。汗で失いがちなミネラルを補給するため、ごはんは麦ごはんを炊きました。野菜たっぷりで栄養バランスが良く、ボリュームもあるため、これだけで十分満足できる仕上がりです。目玉焼きが真夏の太陽のようですね。辛さはお好みで調節してください。辛いものの後は、ぷるんとやわらかく冷たい食感のわらびもちと旬のライチで口を潤しましょう。暑い夏は、できるだけお弁当作りの時間を短縮したいものです。簡単にできて、見た目も食べごたえもあるビビンバは、まさに理想的なお弁当といえます。

★野菜たっぷりピリ辛ビビンバ

エネルギー767kcal、たんぱく質30.1g、脂質20.4g、塩分2.2g(1人分)
材料 2人分
(A)  
1・1/4カップ
1/4カップ
360ml
豆もやし 100g
にんじん 1/2本
ほうれん草 100g
(B)  
白ごま(する) 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
ごま油 小さじ2
一味唐辛子 少々
にんにく(卸し) 1/2かけ
牛ひき肉 100g
(C)  
にんにく(卸し) 1/2かけ
しょうが(卸し) 1/2かけ
小さじ2
しょうゆ 小さじ2
砂糖 大さじ1/2
ごま油 大さじ1/2
2コ
松の実 少々
糸切り唐辛子 少々
コチジャン(お好みで) 少々

作り方

  1. (A)で麦ごはんを炊きます。
  2. 豆もやしはひげ根をとり、にんじんはせん切り、ほうれん草は7cm長さに切っておきます。
  3. グラグラと沸騰した湯に豆もやしを入れて5分間程ゆでます。同じ鍋ににんじんを加えて1分間程ゆで、ほうれん草も加えて1分間程ゆでて水にとります。
  4. ボウルに(B)を合わせ、3.の水気を軽くしぼって和えます。
  5. 牛ひき肉に(C)で味をつけます。
  6. フライパンにごま油を熱して5.がパラパラになるまで炒めます。
  7. 器にごはんを盛り、上に4.、6.、目玉焼きをのせて松の実を散らし、糸切り唐辛子とお好みでコチジャンを添えます。

★フルーツわらびもち

エネルギー153kcal、たんぱく質1.4g、脂質0.9g、塩分0.0g(6人分としたときの1人分)
材料
作りやすい分量
4~6人分
わらび粉
(市販のもの)
100g
600ml
砂糖 80g
(A)  
きな粉 大さじ4
砂糖 大さじ3
季節のフルーツ 適宜
黒みつ 大さじ2

作り方

  1. わらび粉に分量の水を徐々に加え、かたまりを指先でつぶし、砂糖も加えて鍋に濾します。
  2. 1.を火にかけ、鍋底をすくうように煮ます。
  3. 2.がどろどろとして粘りが出るまでよく練り、流し缶に入れて冷やし固めます。
  4. (A)を混ぜ合わせておきます。
  5. フルーツは適当な大きさに切って用意します。
  6. 3.をスプーンですくうか切り分け、4.と黒みつをかけ、フルーツを添えます。今回はライチを添えました。

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