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インターネット公開文化講座

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歳時記とごはん

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

食欲の秋 ~おいしいものいっぱい実りの秋~

前シリーズでは「食育をはじめましょう」と題し、それぞれのライフステージに合わせた食事についてご紹介しました。
今シリーズでは、食育・続編として「歳時記とごはん」をご紹介しています。
日本人として伝え続けていきたい正月・七夕・節分などの日本の歳時記と、それにまつわる食事を謂れや慣わし・行事食をオリジナルレシピとともにご紹介します。

秋の食材 第2回目のテーマは「食欲の秋」。
暑かった夏も終わりを告げ、季節は秋へと移り変わります。
「読書の秋」「芸術の秋」「スポーツの秋」・・・と、秋の代名詞はたくさんありますが、やはり「食欲の秋」を欠かすことはできません。
"春に種をまき、秋に刈り取る""春に蕾をつけ、秋に実を結ぶ"、秋は収穫の季節なのです。

1.「食欲の秋」と呼ばれるワケ

秋は9月から11月の3ヶ月間ととても短いものですが、この短期間に野山は、木の実・山野草の実・きのこなどのさまざまな食材に恵まれます。まさに"実りの季節"・"食欲"の季節です。

「"食欲の秋"が体にもたらす役割」

  • 夏は気温が高く体温を維持することは簡単ですが、秋になると気温が下がり、体温を維持するためにより多くのエネルギーが必要になります。そのため、秋には食欲が湧いてくるのです。
  • でんぷん質や高たんぱくの食材に恵まれる秋にしっかり食べて、体にエネルギーを貯え、寒い冬に備えなさいと自然の恵みは教えてくれているのです。

2.秋の味覚

秋にはサンマや鮭などの魚介類は海水の温度が下がって身が締まり、りんご・柿などの果物も豊富に収穫されます。また、秋・冬はあたたかい鍋物やおでんなどの煮込み料理に、ぴったりの野菜が旬を迎えます。

≪サンマ≫

さんまの塩焼き
さんまの塩焼き
  • 夏はオホーツク海、冬は沖縄近辺を回遊する一年魚で、千島列島沖、三陸沖、銚子沖と南下する間に脂を溜め込み、10月下旬には脂ののったおいしいサンマになります。
  • サンマの脂にはコレステロールを減らし、脳血栓や動脈硬化、心筋梗塞、高血圧などに予防効果のある「DHA」や「EPA」といった不飽和脂肪酸がたっぷりと含まれています。
  • 皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAの一種である「レチノール」が多く含まれており、風邪をひきやすくなるこれからの季節にのどの粘膜を守るなど大切な役割を果たします。

≪きのこ≫

きのこのまぜご飯
きのこのまぜご飯
  • きのこは、倒木や切り株などによく発生したことから「木の子」と言われるようになりました。
  • 日本には約5千種類のきのこが生息し、その内約120種が食用です。その中でも市中に出回っているものは15~20種類にすぎません。
  • きのこに豊富に含まれる食物繊維は、コレステロール値を下げ、生活習慣病やガンの予防にも効果的とされています。

≪根菜類≫


里芋のごまみそ和え
  • 根菜類とはさつまいも、じゃがいも、さといも、長いも、にんじん、ごぼう、れんこんなど、主に根を食用とする野菜のことで、いずれも秋から冬にかけて旬を迎えます。
  • 野菜は土の中に張った根が養分を吸収して育ちますが、根菜は土の中の養分を吸収・貯蔵している根の部分を食べるため特に栄養素が豊富です。
  • 体内でたんぱく質をエネルギーに替える働きのミネラルも豊富に含み、寒い季節に身体を温めるためにも積極的に食事に取り入れましょう。

3.秋の味覚を楽しむテーブルコーディネート

秋の食卓イメージ

秋のコーディネートは、"恵みをもたらす大地"・"色づく木々の葉"などをイメージさせる、茶系や赤系、オレンジ系といった「イエローベースの暖色系カラー」を中心にコーディネートしていくことがポイントです。
中でも「オレンジ」は、色彩学的に"最も食欲をそそる色"といわれています。
なぜなら、「食物(果物)は熟していくにつれて、緑からオレンジに変化していく場合が多いから」です。
このように、季節の色をイメージするとコーディネートがしやすくなります。

4.「食欲をそそる秋のおいしい」ごはん

★さんまごはん
~香ばしい香りに食欲が沸き立ちます~

エネルギー 515kcal、たんぱく質 18.2g、脂質 15.8g、塩分 2.1g(1人分)
*さんまを煮た際の調味料は70%可食として計算しました
材料 分量:4人分
出し昆布 10cm
600ml
2カップ
生さんま 2尾
(A)
しょうが(せん切り・大) 1かけ
しょうゆ 大さじ1
大さじ3
150ml
まいたけ 1/2パック(50g)
生しいたけ(小~中) 5枚
にんじん 70g
ゆでたけのこ 50g
(B)
しょうゆ 大さじ1
小さじ1/2
砂糖 大さじ1/2
生ぎんなん 12粒
すだち 2コ

作り方

  1. 昆布を30分~1時間位水に浸し、昆布だしをとります。
  2. 米を洗い、1.のだし汁500mlに30分位浸しておきます。
  3. さんまは半分に切り、腹わたを出して洗い、尾も切り落とします。
  4. 鍋に(A)を煮立て3.のさんまを加えます。サッと煮たら鍋から取り出し、熱いうちに骨を取り除いて軽くほぐしておきます。
  5. まいたけは細めにほぐし、しいたけはせん切り、にんじんはいちょう切り、たけのこも薄いいちょう切りにします。
  6. 炊飯器に2.と(B)を入れ、にんじん、たけのこ、きのこ類の順にのせて炊きます。
  7. 6.のごはんが沸いてきたら4.のさんまをのせ(さんまを煮た時のしょうがを共に入れても良い)、更に炊きます。
  8. 7.が炊き上がったら10分程蒸らして器に盛り、ぎんなんと半分に切ったすだちをのせて召し上がります。

※ぎんなんは殻を割り、鍋にひたひたの分量の水とともに入れて火にかけ、穴の開いたお玉でこするようにゆでて薄皮をとります。

★土瓶蒸し
~やっぱりきのこの王様!松茸の香りは絶品です~

エネルギー 77kcal、たんぱく質 9.9g、脂質 1.1g、塩分 2.5g
材料 分量:2人分
まつたけ
(又はしめじ)
適量
エビ(中) 2尾
少々
ぎんなん 6粒
鶏肉(皮なし) 40g
みつ葉(小) 1/3束
(A)
だし 400ml
うす口しょうゆ 大さじ1・1/2強
大さじ1
うま味調味料 少々
すだち 1/2コ

作り方

  1. まつたけは石づきの部分をえんぴつを削るようにそぎ取り、薄い塩水で軽く洗います。
  2. エビは殻をむき、背ワタを取って酒をふりかけます。ぎんなんは鬼皮を割って取り、ゆでて玉じゃくしでこすりながら薄皮をむきます。
  3. 鶏肉は小口切り、みつ葉はザク切り、又は結びます。
  4. エビと鶏肉はサッと熱湯に通します。
  5. 土瓶にみつ葉以外の材料を入れて(A)を注ぎ、ふたをして蒸し器に入れ、8~10分間蒸します。
  6. 5.にみつ葉を入れて火を止め、ふたをしたまましばらく蒸らし、すだちを添えて召し上がります。

★いちじくのシャーベット
~まだまだ捨てがたいひんやりデザート・旬のいちじくをおいしくいただきます~

エネルギー 143kcal、たんぱく質 0.6g、脂質 0.1g、塩分 0g
材料 分量:2人分
★シャーベット
いちじく(皮をむいて) 150g
(A)
砂糖 35~40g
レモン汁 大さじ1/2
オレンジキュラソー 大さじ1/2
★ソース
いちじく(皮をむいて) 45g
(B)
砂糖 小さじ1
レモン汁 小さじ1
オレンジキュラソー 小さじ1/2
ミント 適宜

作り方

  1. いちじくは皮をむいて、適当な大きさに切り、ボウルに入れます。
  2. 1.に(A)をからめて10分間程おき、冷凍庫で1晩凍らせます。
  3. 2.をフードプロセッサーにかけて、再び冷凍庫で凍らせます。
  4. ボウルにソース用のいちじくと(B)を入れ、スプーンの背で軽くつぶして冷蔵庫で10分位おきます。
  5. 器にシャーベットを盛り、上からソースをかけ、ミントを添えます。
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